「福島県の印象は?」 北京五輪メディアセンターで海外記者に質問

 
北京市内のメインメディアセンター。各国の報道陣が取材の拠点とした

 海外メディアが抱く現在の本県の印象は―。北京冬季五輪の現地取材に合わせ、復興五輪を理念に昨夏開催された東京五輪と、東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出方針決定の二つにテーマを絞って、北京市内にあるメインメディアセンターで海外記者に考えを聞いた。

 「東日本大震災発生時は、ロシアでも活発な議論になった。でも現在、福島で何が起きているかは分からない」。ロシア・スポーツ紙の男性記者が教えてくれた。本県に対して「ポジティブ」な印象は持つが、震災から時間が経過し、本県をはじめ被災地のことを耳にする機会は減ったという。

 この男性記者は、本県で東京五輪の野球・ソフトボール競技が開催されたことを知っていた。2014年のソチ五輪(ロシア)を例に挙げ「五輪をきっかけに福島でも『ポジティブな変化』が訪れると思う」と話し、五輪が本県復興を後押しするきっかけになる、とした。中国のテレビ局に勤務する女性記者もスポーツにはポジティブなエネルギーがあるとし、本県は「より良い方向へ変わっていくだろう」と話した。

 一方、ドイツから来た男性記者は、現在も本県に少しネガティブな印象を抱いているようだった。理由には「原発事故によって人々の暮らしが一変した」を挙げた。海洋放出については、世界中の原発が同様の対応を行っていると説明したが「環境に悪影響がある」とし「反対だ」と答えた。

 海洋放出の反対意見はほかにもあった。中国の男性記者は、海洋環境のために「『有毒物質』を投げ捨てるべきではない」と強調。別のドイツの男性記者は「最大限の安全性を担保すべきだが、電力会社を信用できない」と応じた。「事故を起こした原発」とのイメージが簡単には覆せない実態が浮かんだ。

 「2011年に何があった」「福島のことはよく分からない」と断られるケースもあった。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から11年が迫る中、海外で事故の風化が進んでいることも実感した。

 ただロシア人記者の言葉には確かな希望も感じた。「日本に行ったことはない。でも『あなたのまち』に訪れて地震で何が起きたのかを見てみたい」

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