【北京冬季五輪記者ルポ】厳戒と熱気の祭典舞台

 
メインメディアセンター内にある土産品店。開店前から連日行列ができ、売り切れの商品が相次いだ

 北京冬季五輪が20日、閉幕する。高速鉄道やボランティア、人気のマスコットキャラクター...。発展著しい中国に計12日間滞在した現地取材は、新型コロナウイルス対策で外部との接触が禁止される「クローズドループ(閉じた輪)」での活動だったにもかかわらず、競技外でも発見の連続だった。

 最高速度は時速350キロ―。北京とスノーボード競技などが行われた河北省張家口への移動で記者がお世話になったのが、五輪に向けて開通したという高速鉄道だった。約170キロ離れた両地点を50分足らずで結んでいる。加速は滑らかで振動もほとんど感じず、快適さだけなら新幹線を上回っているようにも感じた。ただ、最高速度に達するのはまれなのか、車内の速度計が「350」を示したのは3往復して1度だけだった。

 日本人記者の間でひそかなブームだったのが、中国語で表記される五輪関係の案内だった。中国語を学んでこなかった記者でも、漢字からある程度の意味を想像できた。スノーボード競技は「単板滑雪」、ビッグエアは「大跳台」。記者の身分証を見ると所属が「新聞媒体」、肩書は「文字記者」と思わずうなずく漢字ばかりだった。

 中国語へ自信が芽生えた記者だったが、実際は甘くない。ドアに書かれた「推」と「拉」の文字。真下に「PUSH(押す)」「PULL(引く)」とそれぞれの英語表記がなければ、間違って恥をかいていたかもしれない。

 大会を支えていたのは、東京五輪・パラリンピックでも活躍したボランティアだ。2万人近いボランティアのほとんどが大学生や大学院生だといい、1日8時間ほど活動するという。報道機関の取材拠点となるメインメディアセンター(MMC)で日本語通訳をしていた女子学生は「国際的なイベントに貢献したい」と滑らかな日本語で参加理由を教えてくれた。日本のアニメや文化が好きというこの学生の好きな日本語は「一期一会」。現地で感じていた不安を一瞬で吹き飛ばしてくれた。

 テレビなどで目にすることも多かったパンダの五輪マスコットキャラクター「ビンドゥンドゥン」。現地では「ビンドゥンドゥンを持っているか」があいさつ代わりになるほど、人気を集めていた。土産品を取り扱うMMCの店には連日、長蛇の列。密を避ける入場制限や購入数の制限もあり、"争奪戦"は日を追うごとに増していた。

 空前のメダルラッシュに沸いた日本。日本選手の活躍をモチベーションに記者もグッズを手に入れようと、開店2時間前の午前8時に向かった。推定200メートル以上の行列に加わり、待つこと約5時間。ようやく入店できたころには、人気商品はほぼ完売。最後の目的は遂げられず、無念の帰国となった。(折笠善昭)

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