高校球児「五輪に出たい」 バッハIOC会長と福島商3人が懇談

 
バッハIOC会長(左)と談笑しながらあづま球場に向かう(右から)安斎さん、高橋さん、大内さん=24日午後、福島市

 「五輪に出て、期待に応えたい」。福島県の高校球児が2020年東京五輪の野球・ソフトボール競技が行われる福島市で、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長に思いを伝えた。バッハ氏は「いつの日か、五輪で日本チームの一員として会えることを楽しみにしている」と激励した。

 福島商高野球部の2年生3人が24日、バッハ氏と懇談した。「大震災があったから今の仲間に出会えた。悪いことばかりではなかった」。エースの大内良真さん(16)は主将の高橋尚也さん(17)、捕手の安斎海人さん(17)を見つめながらバッハ氏に打ち明けた。

 大内さんは飯舘村出身。草野小3年の時に東日本大震災が起き、栃木県、福島市への避難で1年ほど野球から遠ざかったが、小学5年で転機が訪れた。同村で在籍していたスポーツ少年団の監督から、同市の軟式野球チーム「ふくしまBS」を紹介されて入団。仮設飯舘中に入学後は福島リトルシニアに入り、今のチームメートに出会った。「つらいこともあったが、福島に来て野球を続けられていることに感謝している」

 バッハ氏は大内さんの言葉に感銘し「スポーツの力は希望や未来を与え、友人をつくってくれる。五輪で福島の復興を支援したいという、望んでいた通りになった」と喜んだ。3人は緊張した様子だったが、大内さんが避難生活の中で野球から離れ「太ってマラソンが苦手になった」と話すと、バッハ氏は「私と皆さんには共通点がある。スポーツの経験と、体重が増え過ぎてマラソンが走れなくなったことだ」と、笑いを誘った。

 バッハ氏と3人は会話を弾ませながら、歩いて東京五輪競技会場のあづま球場へと向かった。高橋さんは「1位じゃないと駄目だと言われた。トレーニングを積み、春はどこにも負けないチームをつくる」と、バッハ氏と過ごした貴重な時間を胸に刻んだ。

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