聖光学院エース・須藤、連日の『完封』 打たせて取るゴロの山
いわき市のいわきグリーンスタジアムで28日に行われた第101回全国高校野球選手権福島大会決勝。第3シード聖光学院が2―0で第4シード日大東北を破り、戦後最多記録を更新する13年連続の夏の甲子園出場を決めた。
9回の最後の打者。聖光学院先発の須藤翔(3年)はこの試合初めて捕手吉田修也(同)のサインに首を振った。直球を断って投じたスライダーで三振。エースが笑顔で両腕を広げると、ナインが次々とマウンドに駆け寄った。
「自分は打たせて取る投手」と須藤は言う。最後の場面も三振を狙ったわけではない。「引っかけさせて内野ゴロになれば」と考えた配球だった。自分の実力を認めた上で、できる限りを尽くす。その姿勢が決勝での完封勝利につながった。
前日の準決勝も137球の完封。「疲れはあった」と認める。実際、最終回を除いて毎回出塁を許す展開。しかし持ち味の制球力でコーナーを突き、ゴロを量産して得点を許さなかった。
県立高校への進学を考えていた中学生の時、体験入学で斎藤智也監督から「勝って終わりたくないか」と声を掛けられた。それが聖光を選んだ一因だ。ただ「ベンチに入れるとは思ってなかった」。
球速160キロの高校球児が新聞紙面をにぎわす中、須藤の最速は134キロ。決して速くはない。「うらやましいとは思う。でも自分が持っている以上のものは出せない」。割り切って制球と緩急の使い方を磨いた。県内外の強豪校とも対戦し、通用すると自信を深めてきた。
そして迎えた決勝で成長した姿を見せ、聖光で背番号「1」を付ける理由を示した。須藤は「できすぎかな」と謙遜したが、斎藤監督は「真のエース」とたたえた。甲子園はすぐにやってくる。「やることは変わらない」。自慢の投球術で全国の強豪に挑む。