エースになった!聖光学院・舘池『完封劇』 初回から圧巻投球
聖光学院の揺るぎないエースになった。舘池亮佑(3年)は初回から圧巻の投球。わずか2安打に抑えて完封し、勝利の立役者となった。2度のけがに泣かされ、背番号「1」を付けるが実は今大会が公式戦デビュー。昨年秋はメンバー外だった苦労人が特別な夏に輝いた。
打者の手元で浮き上がる最速137キロの直球に、ストライクゾーンぎりぎりを突く制球力。「中軸のバッターも詰まらせられた。さすがの一言しかない」。そう相手打者もうなるほどの投球。スコアボードにはゼロが並んだ。
最後の打者も決め球は直球。三ゴロに打ち取ると、捕手小野大輔(同)と抱き合い、歓喜の輪の中心になった。「ノーシードからの長い戦いで苦しかった」。試合後は喜び以上にエースの重圧から解放された安堵(あんど)感に浸った。横手投げに転向したのは昨年5月。直後に右肘の疲労骨折や神経痛に襲われ、2度離脱した。昨年秋は、球場のスタンドから声援を送っていた。メンバー入りをあきらめた時もあったが、「最後までやり切ろう」と決意し練習に打ち込んだ。
けがが回復したのは今年2月。再び投球練習ができるようになると、仲間の姿に負けじと制球を磨き、最後の夏にエースナンバーを託された。
実戦経験が乏しい中、初戦の日大東北との激闘を1人で投げ抜いて完封すると、文字通りエースへと成長を遂げた。「大会が進み、いい意味で試合に慣れた」。その言葉にエースの風格が漂っていた。