光南継投...国井「後はおれに任せろ」 エースにチーム命運託す
「後はおれに任せろ」。3回までに4点を奪われ、なおも続く3回2死一、二塁のピンチ。光南のエース国井飛河(ひゅうが)(3年)の左腕にチームの命運が託された。
今大会、19回を2四球と安定していた先発矢田部巧(同)が夏の王者の重圧に乱れた。4点目を許した直後、四つ目の四球で降板。「飛河ごめん」。昨夏、聖光学院に敗れてから高め合ってきた仲間からマウンドを託され、気持ちが高ぶった。
矢田部からボールを受け、「ピンチを断ち切ればチャンスはやってくる」。国井はその言葉通り、次の打者を1球で内野ゴロに仕留め、背番号「1」の貫禄を見せつけた。
ただ、国井も調子が良かったわけではない。制球が定まらず8回まで毎回走者を背負った。6回にはこの夏、初めてスコアボードに「0」以外が刻まれた。
6点差。新型コロナウイルスの影響で試合時間短縮のため特別ルールで、決勝でもコールドが適用されたが、あと1点を奪わせなかったのはエースの意地と、3年生32人の思いだ。「飛河ならやれるぞ」。応援席からのげきが力を与えた。最終回、磨き上げた直球とチェンジアップを効果的に使う本来の投球が戻り、初めて三者凡退に抑えた。
聖光学院の校歌を聞きながら思ったことがある。「一緒にやってきたみんなが最後に力をくれた。県制覇はできなかったけど一番のチームだな」