「聖地」での経験自信に 只見・酒井悠、復活エース...悔いなし

 
センバツに続いてエースとして活躍した酒井悠=18日、ヨーク開成山スタジアム

 一発勝負のトーナメントで勝ち進み、夏の大会で再び甲子園に行く―。仲間との夢がついえた。郡山市のヨーク開成山スタジアムで18日に行われた夏の高校野球福島大会3回戦。今春の選抜高校野球大会(センバツ)に21世紀枠で出場し、先発登板した只見の酒井悠来(はるく)(3年)は、逆転へ望みをつなげる投球を見せたが、勝利にはあと一歩届かなかった。

 「あのマウンドに立ち、全国レベルの強さを見ることができた」。センバツで全国の強豪校を相手に、堂々と戦えたことが自信につながった。甲子園から学校に戻ってからは、さらなるレベルアップのため、インコース攻めや、スライダーの切れに磨きをかけた。

 しかし、そのまま順風ではなかった。春の県大会前に肉離れして同級生にエースの座を奪われた。「エースを奪い返すためなら何でもする」。走り込みや投げ込みで体を鍛え直し、今大会はエースに返り咲いた。

 そして迎えた南会津と会津勢同士の一戦。五回途中から登板し、九回まで1失点と好投したが、打撃がつながりを欠き、及ばなかった。「勝ちたくてしょうがなかったが、やり切った」と誇らしげな表情を見せた。

 「次はおまえらの番。頼んだぞ」。試合後、聖地を共に踏んだ弟の怜斗(2年)ら後輩に、高校生活で果たせなかった夢を託した。

 卒業後は、県外で飲食関係の仕事に就いて修業を重ね、いつか実家の飲食店を継ぎたいと考えている。社会人で野球を続けたい思いもあり、今後はクラブチームに所属するつもりだ。雪深い冬を乗り越え、只見で過ごした経験を糧に新たな夢へと向かう。(津村謡)

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