田村の快進撃続く 53年ぶり4強、エース桑原が雄たけび

 
【田村―学法石川】最後の打者を打ち取り、雄たけびを上げる田村のエース桑原=いわきグリーンスタジアム

 第104回全国高校野球選手権福島大会は第10日の24日、いわきグリーンスタジアム(いわき市)で準々決勝2試合が行われ、ノーシードの田村が5―3で第2シード学法石川を下し、53年ぶりに準決勝に進出した。第3シード光南は第6シード学法福島に4―2で競り勝った。第11日の26日は、ヨーク開成山スタジアム(郡山市)で準決勝2試合が行われる。第1試合は午前9時から、3年ぶりの優勝を目指す聖光学院と初優勝を狙う東日大昌平、第2試合は同11時30分から、16年ぶりの優勝を狙う光南と初優勝を目指す田村がそれぞれ対戦する。決勝は27日に同スタジアムで午前11時開始予定。

220726k-natu2-1.jpg  【評】後半に打線がつながった田村が逆転勝ちした。3点を追う六回に佐藤航と桑原の適時打で2点を返した。7回は大和田からの3連打と敵失で同点とし、なお1死満塁から渡辺敦の犠飛で勝ち越した。学法石川は前半は試合を優位に進めるも、投手陣が踏ん張れなかった。打線は7回以降は無安打に抑えられた。(熊田紗妃)

 桑原、公式戦初完投

 半世紀以上の時を超え4強への扉をこじ開けた。最終回、田村のエース桑原雅仁(3年)が投じた108球目は、魂を込めた直球。最後の打者を内野ゴロに仕留めると、マウンド上でひときわ大きな雄たけびを上げた。53年ぶりの準決勝進出が決まった瞬間だった。

 公式戦初完投。「悔しい負けをいくつも味わってきた。そうした悔しさを晴らすために、ベスト4に進めて良かった」と胸を躍らせた。

 第2シード学法石川との一戦を前に、捕手渡辺敦也(3年)と時間をかけて対策を練った。序盤は緩急をうまく使って打ち取り、終盤は内角の直球で攻めた。「8回ぐらいからしんどかった。気力でいくしかなかった」。8回からはアウトを取るごとに、自らを鼓舞するかのように雄たけびを上げ続けた。

 気迫のこもった投球の裏には、祖父の存在がある。選手、指導者としての経験があり、桑原が中学生の時から大会に足を運んでは、細かい修正点などについてアドバイスを送った。「じいちゃんに勝利を報告できてほっとしている」と最高の笑みを浮かべた。

 歴史的な勝利を経て、狙うのは初の聖地だ。「準決勝、決勝としっかり投げ抜いて、甲子園に行きたい」。左腕が再び豪快に腕を振る。(副島湧人)

 学石、最後まで笑顔忘れず

 学法石川の10年ぶりの4強進出はならなかった。2点を追う9回2死一塁の最終局面。打席に立った主将の黒川凱星(かいせい)(3年)は外角の直球をフルスイングした。「抜けてくれ」。思いは届かず、一塁走者が二塁でアウトになり、ゲームセット。最後の打者となった。

 「あの打席に悔いはない」。試合後、1年秋から主力としてチームを引っ張ってきた主将に涙はなかった。「全員が最後まで、笑顔とつなぐ気持ちを忘れずに戦うことができた」と手応えを口にした。

 千葉市出身。「佐々木(順一朗)監督の下で甲子園を目指したい」と親元を離れ、同校の門をたたいた。「学法石川を選んで良かった。高みを目指してこれからも野球を頑張りたい」

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