エース小林「全力出し切った」 光南、最終回に粘り見せる

 
【聖光学院―光南】先発した光南のエース小林=ヨーク開成山スタジアム

 郡山市のヨーク開成山スタジアムで27日行われた第104回全国高校野球選手権福島大会の決勝。聖光学院が熱戦の末に光南を6―3で下して優勝し、3年ぶりに頂点に返り咲いた。 220728k-natu3-2.jpg

 夏の思い出、次のステージに

 自身2度目となる夏の決勝の舞台。またしても、あと一歩届かなかった。

 「全て出し切った。王者相手に納得の投球ができた」。先発した光南のエース小林貫大(かんた)(3年)は自身の投球をそう振り返った。

 昨夏は2年生ながら主に野手として出場し、準優勝に貢献。今年は「背番号1」を背負い、チームの大黒柱として再び悲願の頂に挑んだ。

 同点で迎えた5回1死一、三塁。外角の変化球を右翼スタンドに運ばれた。「(投じた球は)甘くなかった。打者の実力が上だった」と素直に認める。打たれた直後、2者連続三振で切り抜ける意地を見せた。マウンドを託した六回以降は中堅から仲間を鼓舞し続けた。

 部員は62人で、最後の夏にメンバーに入れなかった同級生もいた。そのうちの一人、記録員の長久保季(みのる)(同)は、戦う仲間への思いをつづった手紙を試合前に読んでくれたという。「絶対勝つ」。支えてくれる仲間の思いを背負って戦ってきた。

 中学時代の選抜チーム「全南EAST」で共に全国大会に出場した仲間と「甲子園に行こう」と誓い、一緒に光南の門をたたいた。夢には一歩届かなかったが、仲間と甲子園を目指した日々は財産となった。今後プロ志望届を出す予定だ。

 それでも、「負けた悔しさは絶対に忘れない」。無念の思いと達成感がない交ぜになった忘れがたい夏の思い出を胸に、次のステージに向かう。(熊田紗妃)

 最後の打者、湯沢は涙

 3点を追う9回2死一、二塁の最終局面。光南の湯沢一颯(いぶき)(3年)は外角の直球を振り切ったが、打球は内野ゴロとなり、最後の打者となった。「みんなで甲子園に行きたかった...」。一塁で泣き崩れ、しばらく立ち上がれなかった。

 4回に安打で出塁し、後続の安打や押し出し四球で本塁に生還。同点に追い付いた。最終回にも粘りを見せたが、あと一歩及ばなかった。「胸を張れ」。試合後、湯沢は仲間からの言葉でようやく前を向いた。

 昨夏の福島大会は応援団長を務め、スタンドで先輩たちが聖光学院を破った準々決勝を見守った。「今大会に出場した2年生を中心にチームを引っ張り、必ず甲子園に行ってほしい」。果たせなかった夢を後輩に託した。

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