「幻のヘッドマーク」写真発見! 1985年・甲子園、磐城高を激励

 
「球児の夏を応援したい」と話す中村さん

 甲子園出場の福島県代表校を激励しようと作られた、列車のヘッドマークの写真が33年ぶりに見つかった。当時、車両先頭に付けられたため、選手の目に留まることがなかった「幻のヘッドマーク」。製作者の一人は「夏の高校野球は100回の節目。特定のチームではなく、全ての高校球児に頑張ってほしい」と、14日に再開される全国高校野球選手権記念福島大会も熱い試合に期待する。

 「ヘッドマークを付けた列車の雄姿は選手も保護者にも見られなかったはず」。ヘッドマークは1985(昭和60)年の第67回全国高校野球選手権大会に本県代表として出場した磐城高野球部を激励するため旧国鉄平機関区の職員2人がおよそ半月かけて製作した。

 製作に当たった一人、油絵画家の中村亨司(きょうじ)さん(87)=いわき市=が写真を保管していた。当時の国鉄(現JR)には一緒に製作した指導助役の根本伸夫さん(81)=同=ら同校出身者も多かったことから、手製ヘッドマークで応援しようと盛り上がった。デザインは根本さんが保管していた同校制服のボタンを参考に、サクラを描いた中心部に「磐」の文字を置いた自信作だった。

 中村さんらは選手らが乗る列車にヘッドマークを取り付けたが、平駅(現いわき駅)で開かれた壮行会の後、選手たちは車両に真っすぐ乗車したため、車両先頭のヘッドマークが目に留まることはなかったという。中村さんは翌86年に退職、国鉄民営化による慌ただしさもあり、ヘッドマークは行方知れずとなってしまった。

 中村さんは、いわき市立美術館の昭和をテーマにした写真などを募集する企画や本紙の全国高校野球選手権大会100回記念の特集記事をきっかけにアルバムから写真を見つけ出した。中村さんは「当時の高校球児には思い出話の一つに。磐城に限らず全ての現役選手には、みんなが応援していることを感じてほしい」と話している。

 85年の磐城高は田村隆寿監督が指揮を執って3年目。県大会決勝で若松商に4―3で逆転勝ちし、10年ぶりの全国切符をつかんだ。甲子園では熊本西と対戦し3―7で初戦敗退だった。

おすすめPickup!ニュースの『玉手箱』

いわきFC、真っ向勝負も敗退 J1新潟に健闘、ルヴァン杯サッカー