日大東北ナイン、貫いた全員野球 夏の甲子園、エース緊急降板

先頭打者の打球を足に受ける日大東北のエース吉田=甲子園
投打の「大黒柱」の負傷交代を全員野球でカバーした。20日の甲子園1回戦で近江(滋賀)に2―8で敗れた日大東北。試合開始直後に4番打者で先発吉田達也(3年)が、ベンチに退くまさかのアクシデントにも、ナインは総力戦で3大会連続出場の強豪に堂々と挑み、意地を見せた。
試合開始を告げるサイレン音が鳴り響いた直後の出来事だった。近江の先頭打者井口遥希(3年)が放った鋭い打球が、金属バットの快音とともに吉田の右足を強襲する。「当たった瞬間から痛かった」。吉田はわずか3球でマウンドを降りた。
それでも、後を託された投手陣が奮闘し、6回まで2点差の接戦を展開した。ベンチ入りした選手18人のうち、15人が出場する全員野球。「グラウンドの選手と気持ちを一つに戦いたかった」。吉田も病院で打撲と診断を受けた後にベンチに戻り、三塁コーチや裏方役として最後まで仲間のサポートに徹した。
健闘も及ばず、チームは初戦敗退。吉田は痛む右足を引きずって整列に並び、近江の校歌を聞きながら目を赤くした。「甲子園は最高の舞台でした」。最後の夏は思わぬ形で幕を閉じたが、降雨ノーゲームとなった前日の試合を含め、憧れの場所で過ごした濃密な2日間を胸に刻み込んだ。
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