日大東北・堀米涼太「次はエースとして戻る」 救援1年生粘投

長雨による順延、エースの負傷降板など逆境が重なった18年ぶりの甲子園。4投手の粘投リレーの中、日大東北の堀米涼太(1年)は最長5回0/3を投げて意地を見せた。「先輩の思いも背負い、思いっきり投げられた」。1年生左腕が目標の舞台で投じた107球に思いを示した。
「アクシデントを考えて投手(の肩)をつくっていた」。宗像忠典監督は雨でノーゲームとなった前日の疲労が残るエース吉田達也(3年)を考慮し、控え投手に初回から投球準備を指示していた。その予感が悪い方向で当たってしまった。
初回、先頭打者の打球が足に当たりエースが降板。代わった星拳翔(けんしょう)(同)は2回に被弾した。3点リードを許した2回途中、無死一塁で堀米がマウンドに上がった。2人の先輩から託された白球を握ると、力強く腕を振り、勢いづく後続を打ち取った。
猛打の近江打線を相手に際どいコースへ直球、スライダー、カーブを投げ分け、球数は増えた。それでも「気持ちは負けないように」とフルカウントからの勝負も粘り強く投げ抜いた。
重圧のかかるマウンドで力をもらう場面があった。3回、正捕手の負傷治療の間に、双子の兄で控え捕手の翔太(1年)が準備投球の相手役を務めた。「自分を一番知ってくれている。アドバイスももらい、(兄の存在は)大きかった」
しかし、球数が100球に近づくと制球力が落ちていった。七回に連打を浴びて2点を失い、交代が告げられた。「よく投げてくれた。もう一回ここに戻ってこい」。マウンドを下りると、治療を終えた吉田からベンチで声を掛けられ、思わず涙がこぼれた。初めての甲子園は上級生に連れてきてもらった。「また戻ってくる。エースとして、一回り二回り大きくなった姿で」。ようやく晴れ間の差した甲子園の空に、そう誓った。
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