【夏の王者復活、聖光学院V(下)】「エース頼み」脱却 守備力アップ

 
27日の福島大会決勝に勝利し、頂点に返り咲いた聖光学院ナイン。優勝の余韻に浸ることなく、すぐに甲子園を見据え頭を切り替えた=ヨーク開成山スタジアム

 「無類」。主将赤堀颯(はやと)(3年)が目指すチーム像を表す言葉だ。唯一無二の強さを追い求めるチームは夏の福島大会で、攻撃だけでなく守りでも頭一つ抜ける力を見せた。

 投手陣では、エース佐山未来(同)の活躍はもちろん、課題となっていた2枚目以降の台頭があった。左腕小林剛介(同)は「佐山だけを頼っていてはだめ」とプライドを持って練習に打ち込んできた。今大会全6試合中4試合に登板。17回を投げ、自責点1、防御率0.53と、大きな活躍を見せた。

 右腕小松桜吏(おうり)(2年)は今大会メンバーを外れたものの、春の東北大会では力を見せており、甲子園のメンバーとなれば、層もさらに厚くなる。

 今大会、内野手を中心に数々のピンチを切り抜けた6試合4失策の守備にも期待がかかる。斎藤智也監督は「自分の役割を徹底的に果たし、選手一人一人が職人のようになった」と目を細める。

 強さの鍵は主将赤堀の存在にある。「力のない世代」。今年のチームは、入学当初から首脳陣に発破を掛けられてきた。「他のチーム、先輩と同じことをやっていては日本一を目指すと公言する資格はない」。歴代の先輩が築いてきた歴史を大切にしつつ、今までの先輩よりも「力がないこと」を自覚して首脳陣の考えを上回る行動をとるよう心掛けてきた。

 象徴的な場面が27日の決勝後にあった。ナインは帰校すると、優勝の余韻に浸ることなく、甲子園を見据えてミーティングに臨んだ。その様子を見た指揮官は「目の色が違っていた。切り替えが早かった」と称賛する。

 甲子園の最高成績はベスト8。斎藤監督は「体重とパワーは比例する。甲子園まで時間はないが、体重を数キロアップさせて臨みたい」と語る。ナインは8月1日に大阪入りする。「白河の関」を越える悲願の東北勢初優勝へチームは臨戦態勢を整えていく。(この連載は副島湧人、熊田紗妃が担当しました)