聖光・高中が逆転1号2ラン 浜風に乗った「自分が一番驚き」

 
【日大三―聖光学院】5回裏聖光学院2死二塁、逆転の2点本塁打を放つ高中

 兵庫県西宮市の甲子園球場で9日に1回戦4試合が行われた第104回全国高校野球選手権大会第4日。第2試合に登場した福島県代表の聖光学院は4―2で日大三(西東京)との接戦を制した。

聖光学院の試合結果

 【評】試合巧者同士の息詰まる接戦は、5回の表裏の攻防が勝負を分けた。聖光学院は1死三塁のピンチを迎え、先発の左腕小林剛から右腕のエース佐山への継投策。右飛に打ち取ると、右翼手三好の好返球で本塁を狙った三塁走者の生還を阻んだ。その裏、聖光学院は先頭が出塁したが、空振り三振で一塁走者も盗塁死となる併殺。反撃ムードが消沈しかけた中、続く赤堀の二塁打、高中の2点本塁打で逆転に成功し、日大三がやや優位だった試合の流れを引き寄せた。(鈴木健人)

 体重7キロ増、打撃磨く

 成長著しい2年生が、浮いた直球を豪快に振り抜いた。逆転の2点本塁打を放った聖光学院の高中一樹は本塁を踏むと、出迎えた先輩たちの胸に飛び込んだ。「自分が一番驚いている」と振り返る高校第1号のメモリアルアーチ。斎藤智也監督も「まさかホームランとは」と驚いた会心の一発が、5年ぶりの夏1勝を手繰り寄せた。

 1点を追う5回、無死1塁からエンドランを仕掛けたが失敗。一気に2死となり、流れは相手に傾いたかと思われたが、ここで終わらなかった。

 赤堀颯(はやと)(3年)が出塁し、2死二塁で迎えた高中の打席。「甘い球は絶対仕留める」。捉えた打球は甲子園の浜風に乗ってぐんぐん伸びる。白球が左翼スタンドに吸い込まれると、甲子園が一気に湧いた。

 穏やかな性格だが、野球に対する熱い思いを秘めている。冬場は毎晩米を1.2キロ食べ、体重は7キロ増加。連日の素振りにも力を入れ、徹底的に打撃を磨いた。福島大会は打率2割2分2厘と奮わなかったが、ここにきて調子を上げてきた。「今が成長期で春よりもはるかに体が大きくなっている。大阪入り後は一番状態が良い」と指揮官。冬場の努力は裏切らなかった。

 この日は、ソロ本塁打を放った三好元気と共に「2年生コンビ」が勝利に大きく貢献。高中には「大好きな3年生と一日でも長く野球がしたい」という強い思いがある。「少しは恩返しできたと思うが、まだまだ。上を目指して一瞬一瞬必死にやる」。大舞台で最高の輝きを放った2年生が見据えるのは、頂点ただ一つだ。(熊田紗妃)

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