聖光記録員・梅川、縁の下の力持ち 夏の甲子園、横浜分析ずばり

 
【横浜―聖光学院】記録員として相手戦力を分析し、16強進出に貢献した梅川(右)。左は斎藤智也監督、中央は横山博英部長=甲子園球場

 春夏合わせて5度の優勝を誇る甲子園常連校に、チーム全員で立ち向かった。14日に行われた全国高校野球選手権大会第9日の2回戦で、横浜(神奈川)に勝って5年ぶりに16強へ進んだ聖光学院。春夏通じて8戦全敗と、相性が悪かった神奈川県勢から初めて白星を挙げた。大きな1勝を飾った裏には、チームを支えた記録員の存在があった。

 試合中、スコアブックを手に、ベンチの中で人一倍声を出すのは記録員の梅川輝(ひかる)(3年)だ。スコアをつけながら、相手投手の球筋や持ち球を伝えたり、時にはナインを鼓舞するために声でエネルギーを送ったりと、裏方ながら存在感を放っている。

 梅川は小学1年で野球を始め、聖光学院入学後は内野手として仲間と共に日々の練習に励んだ。野球人生で大きな選択を強いられたのは昨夏だった。体の不調を訴え、約3カ月にわたり運動ができなかった。「何とかチームのために貢献できないか」。自ら出した結論は、裏方の道だった。

 昨秋の県大会から記録員としてベンチに入ると、試合前から相手投手や打線をつぶさに分析した。今大会も捕手の山浅龍之介(3年)と一緒に1日約2時間、相手チームを研究した。

 「背番号はないが、ベンチに入れさせてもらっている。スタンドで応援している3年生たちの分まで自分のできることをやっていきたい」。意気込んで臨んだ横浜戦で梅川は相手チームのデータを伝え、初回から打線が機能して先制した。

 五回裏には相手投手の癖を盗んだ主将の赤堀颯(はやと)(3年)が盗塁を決めた。赤堀は「相手投手の特徴など、精神的なことも含めてアドバイスをもらった」と梅川の実績を振り返った。

 出場する選手、そして裏方が一丸となり、文字通り「全員野球」でつかみ取った貴重な勝利。聖光学院は目標の"日本一"目がけて最高のチームワークで駆け上がっていく。(副島湧人)

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