聖光・安田、勝ち越し2ラン 「熱男」持ち味発揮の積極的打撃

 
【敦賀気比―聖光学院】3回表聖光学院1死一塁、右翼席に2点本塁打を放つ安田

 兵庫県西宮市の甲子園球場で16日に3回戦4試合が行われた第104回全国高校野球選手権大会第11日。本県代表の聖光学院は敦賀気比(福井)に8―1で快勝し、6年ぶりにベスト8に進出した。このほか、今春の選抜大会覇者の大阪桐蔭は二松学舎大付(東東京)を4―0で下し、春夏連覇を達成した2018年以来の8強。九州学院(熊本)は国学院栃木に4―0で勝ち、下関国際(山口)は浜田(島根)を9―3で下して8強入り。18日の準々決勝は、愛工大名電(愛知)―仙台育英(宮城)、高松商(香川)―近江(滋賀)、大阪桐蔭―下関国際、聖光学院―九州学院となった。

220817k-koushien02.jpg  【評】聖光学院は早いカウントから甘い球を逃さず、14安打8得点で敦賀気比の投手陣を攻略した。初回1死二塁で安田が1ストライクから先制点につながる右越え適時二塁打。3回1死一塁の場面では安田が1ボール1ストライクからの3球目を強振し、右翼席に2点本塁打を運んだ。3回に狩野、5回に赤堀がいずれも初球打ちで適時三塁打を放つなど、追い込まれる前の積極的なスイングが奏功した。援護をもらった先発佐山は7回1失点、2番手の小林剛は8回と9回を1人の走者も出さない好投で締め、投打の歯車がかみ合った。(鈴木健人)

 安田、原点回帰「がつがつ振る」

 満員の観客からどよめきが起こる大飛球だった。聖光学院の安田淳平(3年)が3回に放った打球は、甲子園の青空を切り裂くように伸び、右翼席に突き刺さった。勝ち越しの2点本塁打。「信じられない」と自身も驚く会心の一発だった。「接戦を想定していた。あの場面で打てたことは自信になった」。その表情は充実感に満ちていた。

 右翼から左翼方向に吹く甲子園の浜風は関係なかった。同点に追い付かれた3回1死一塁。安田が大胆に振り抜いた高めの変化球は高々と上がり右翼席へ。拳を突き上げながらダイヤモンドを1周し、本塁を踏むと仲間と力強くハイタッチを交わした。

 春の東北大会準々決勝では9回に逆転サヨナラ打を放った。夏の福島大会決勝でも勝ち越しの3点本塁打を放つ勝負強さを備えているが、甲子園の1回戦は4打数無安打。「体が開いて自分のスイングができなかった」と振り返る。1回戦後の練習でもうまくいかず、苦しんだ。試行錯誤の末に出した結論は、持ち味の「がつがつ振る」という原点に戻ることだった。

 斎藤智也監督が「きっかけをつかみ、割り切ってバットを振れていた」と話す2回戦は第1打席で初球をたたき、復活を予感させる先制打を放った。

 迎えた3回戦。積極的にバットを出し、1回の第1打席でも変化球を捉えて右翼越えの適時二塁打を放った。3打点と持ち味を遺憾なく発揮。指揮官が「真っすぐ突き進む熱くて強い男」と表現するチームの「熱男」の存在感は抜群だった。

 組み合わせ抽選後は「死の組」とまで評されていた激戦ブロックを勝ち抜き6年ぶりの8強に進出した。「つらくて苦しい試合になることは覚悟している」と安田。4強の前に立ちふさがる壁を打ち破り、先輩たちが見たことのない向こう側の景色を見に行く。(熊田紗妃)

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