聖光学院 初回集中打で一挙5点、元気な2年生主砲・三好大暴れ

 
【聖光学院―九州学院】1回裏聖光学院1死二、三塁、逆転の2点適時打を放つ三好

 兵庫県西宮市の甲子園球場で18日に準々決勝4試合が行われた第104回全国高校野球選手権大会第12日。第4試合に登場した本県代表の聖光学院は10―5で九州学院(熊本)との打撃戦を制し、創部初の4強入りを果たした。

 このほか下関国際(山口)が今春の選抜大会覇者の大阪桐蔭を5―4で破り、初めて準決勝へ進んだ。選抜大会準優勝の近江(滋賀)は昨夏に続いて、仙台育英(宮城)は7年ぶりに4強入りした。20日の準決勝は第1試合が仙台育英―聖光学院、第2試合が近江―下関国際に決まった。

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 切れ目ない打線、鉄壁の守り

 【評】聖光学院は1~9番まで切れ目のない打線が機能し、一回と四回の集中打で畳み掛けた。1点を追う一回は1番赤堀の中前打、高中のバントヒット、安田の犠打で1死二、三塁の好機をつくり、三好の左翼線への2点適時二塁打で逆転。下位打線も伊藤が犠飛、生田目が適時中前打で続き、計5点のビッグイニングをつくった。四回は先頭の9番佐山が四球で上位打線につなぎ、高中、安田、三好、山浅の4連打で4点を追加した。最大8点のリードを奪ったことで、守備はピンチの場面でも冷静に一つずつアウトカウントを積み重ね、先発佐山を中心に無失策の鉄壁の守りで相手の反撃を食い止めた。(鈴木健人)

 三好逆転打「無心でバット振った」

 歴代の先輩が誰も見たことのない準決勝への切符を聖光学院がついに手にした。春夏通じて23度目の甲子園で初の4強に貢献したのは、逆転打など長打2本で4打点と大暴れした2年生主砲の三好元気だった。「攻める姿勢がよかった。チームに勢いを与えられた」と納得の表情だった。

 初回、1回戦以来の先制を許したが、これまで数々の逆転劇を見せてきたナインに焦りはなかった。その裏にすぐさま反撃開始。1死二、三塁の好機で三好がたたいた内角の打球は左翼線を襲った。逆転の2点適時二塁打を「無心で思い切りバットを振った」と振り返った。

 頭角を現したのは1年の秋だった。県大会ではここぞの場面での代打の機会をものにした。東北大会からは「4番」に定着し、巧みなバットコントロールと勝負強さでチームを救ってきた。「どんな形でもとにかく走者をかえすことが仕事」と三好。大舞台でも4番打者としての仕事を全うし、四回にも2点適時二塁打を放った。

 神奈川県出身。双子の弟力生(りき)(2年)と共に聖光学院の門をたたいた。幼いころはテレビのリモコンの取り合いなどささいなことでよくけんかをしたというが、近所でキャッチボールをするなど野球に励んできた。「ライバルであり、高めあえる友。この世で一番信頼していて感謝している」と三好。スタンドからエールを送っていた力生は「兄の活躍をうれしく思う。自分も負けたくない」と兄の活躍に刺激を受けていた。

 県勢として51年ぶりの4強。半世紀にわたって閉ざされていた扉をこじ開け、福島の高校野球の歴史に新たな1ページを加えた。だが、三好は「目標は日本一。ここで止まらず一戦一戦やり切るだけ」ときっぱり。東北勢が幾度となく阻まれてきた「白河の関」を越えるために、一瞬一瞬戦い抜く覚悟だ。(熊田紗妃)

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