聖光エース・佐山、雨中の熱投132球、制球重視...生きた「場数」

 
【聖光学院―九州学院】9回表九州学院2死、最後の打者馬場を三振で打ち取りガッツポーズする聖光学院のエース佐山

 第104回全国高校野球選手権大会第12日。第4試合に登場した本県代表の聖光学院は10―5で九州学院(熊本)との打撃戦を制し、創部初の4強入りを果たした。

  佐山「日本一への通過点」

 エースの気迫が追いすがる九州学院を退けた。132球の完投で勝利を飾った聖光学院のエース佐山未来(3年)。九回、最後の打者を空振り三振に打ち取ると、「負けなくて良かった」とようやく安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 3回戦(16日)から中1日で先発マウンドを託された。連戦の疲れからか、初回に打者3人であっさり先制点を献上するなど立ち上がりは制球が甘かった。それでも、「野手に助けてもらった」と振り返るように、味方の大量援護をもらい余裕ができた。12年ぶりに8強へ進んだ強打の九州学院を相手に、目先を変える90キロ台の緩いカーブや右打者の外へ逃げるスライダーを有効に使い、有利なカウントで打たせて取った。

 グラウンド整備後の六回は強い雨が降り始め、ぬかるむマウンドでの苦しい投球となった。七回に9番打者に変化球を右翼スタンドへ運ばれ、今大会初めて本塁打を浴びたが、佐山の表情は変わらない。「雨の試合は春の東北大会で経験していた」。昨秋から一度もエースナンバーを譲ることなく、県内外の強打者を相手に投げてきた「場数」が甲子園のマウンドでも物を言った。球速を落とした制球重視の投球で、女房役の山浅龍之介(同)のミット目がけて淡々と腕を振った。大きく乱れず流れを渡さなかった。

 準決勝の相手は同じ東北勢の仙台育英。「ずっと目標に掲げた日本一への通過点。強い気持ちを持って戦う」と佐山。揺るがぬエースが日本一へと導く。(坂本龍之)

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