聖光学院、新たな歴史 初の甲子園4強、胸が高鳴る...OB絶賛

快進撃に卒業生や県民も沸いた。夏の甲子園初出場から21年。聖光学院が18日の試合で勝利し、春夏通じて初のベスト4進出を果たした。全国の舞台で躍動する選手たちの姿に「この勢いで悲願の県勢初優勝を」と県民の期待は高まる。
「胸の高鳴りがやまない。ベスト4は未知の世界だ」。聖光学院が2001(平成13)年夏に甲子園初出場を果たした時の4番打者だった二本松市の会社員塙裕之さん(38)は後輩たちの快進撃に目を細める。甲子園での戦いは初戦で明豊(大分)に0―20の大敗を喫したところから始まった。「自分たちの頃は下手くそだけど、ハートは強かった。聖光らしく謙虚に戦ってほしい」。決勝に進んだら、休みを取って甲子園まで応援に行くつもりだ。
「昨年の(福島大会での)敗戦からよくここまできた。ピンチでもチャンスでも粘り強さを発揮している」。6年前に8強入りした際に背番号「1」を付けた鈴木拓人さん(24)=東邦銀行野球部=は後輩たちを絶賛する。
「客観的にみても優勝を狙える力が十分にある」。2、3年時に投手として甲子園に出場して8強入りを経験した横山貴明さん(31)=浪江町出身、伊達市在住=は確信する。横山さんは早大を経てプロ野球楽天に入団、20年に引退した。「打たせて取る佐山(未来)君と、高校野球トップレベルの守備力がある内野陣のバランスがいい」と次戦も期待する。
17年の夏の甲子園にエースとして出場し、現在はBCリーグ福島レッドホープスで活躍する斎藤郁也さん(23)は全ての卒業生らの思いを代弁した。「自分たちの悔しい思い、先輩方の悔しい思いを優勝して晴らしてきてほしい」
聖光学院の活躍は多くの県民らの刺激にもなっている。04年の第86回大会に出場した元聖光学院野球部の鈴木克弥さん(35)=福島市=の長男で学童軟式野球チーム「福島ホープスジュニアベースボールクラブ」所属の陽太君(11)は「諦めない心で勝利し、やっぱり強いと感じた」と喜ぶ。郡山市の飲食店のテレビで勝利の瞬間を見守った会社員長沢将太さん(30)=福島市出身=は「強豪校を破っての4強入りはとてもうれしい。準決勝は(現住地の宮城県代表)仙台育英とだが、聖光学院に勢いそのまま勝ってほしい」と興奮した様子で話した。
県高野連の木村保理事長(52)は「監督やコーチ、選手の皆さんに敬意を表したい。コンディションを整え、持てる力をしっかりと披露してほしい」と期待を込めた。
スタンド200人歓喜
聖光学院の一塁側アルプススタンドには、生徒や保護者、卒業生ら200人を超える応援団が駆け付け、メガホンなどを持ってナインを応援した。
先発したエース佐山未来(3年)の祖父博さん(71)は「準々決勝まで投げてくれて最高に幸せ。頂点に立ってもらいたい」とエールを送った。
野球部保護者会長の小原孝嗣さん(54)は準決勝進出に「感無量です。ここを通過点だと思って、まだまだ先を目指してほしい」と興奮気味に話した。
母校での応援にも熱気
伊達市の聖光学院高の教室には、ハンドボール部や女子バレー部員らが駆け付けた。集まった約55人は常に応援の手を緩めず、ナインにエールを送り続けた。
一回に一挙5点を挙げると教室は熱気に包まれた。女子バレー部の加藤るあさん(3年)は「初回から得点を重ねて、ものすごい試合だった」と興奮した様子。次戦は現地で応援する予定で「初めて甲子園に行くので楽しみ」と声を弾ませた。
本社が号外発行
福島民友新聞社は18日、第104回全国高校野球選手権大会で準決勝進出を果たした聖光学院の勝利を伝える号外を発行した。
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