【聖光4強・飛躍の夏(2)】球数制限、投手層が決勝進出の鍵

 
準決勝で佐山は1週間500球までと定められた投球数の上限が迫り、無念の降板となった=20日

 観衆の盛り上がりは最高潮に達し、拍手がしばらく鳴りやまなかった。福島県代表の聖光学院ナインが立つことがかなわなかった決勝で、仙台育英(宮城)が東北勢初の優勝を成し遂げた瞬間だった。

 聖光ナインはその仙台育英に準決勝で敗れ、歴史的瞬間を見ることなく学校への帰途に就いた。今回初めてたどり着いた4強のその先、決勝の舞台に駒を進め、さらに勝利するその日を目指し、聖光ナインの進化は続いていく。

 決勝を戦った仙台育英と下関国際(山口)の2校は、共に2人以上の投手の継投で勝ち上がってきた。特に仙台育英は投手陣の層の厚さが目立った。1週間で500球という投球数制限が導入され、上位進出には投手層の充実は必須事項となりつつある。

 聖光学院は、福島大会こそ本調子ではなかったエース佐山未来(3年)が復調し、技巧派左腕小林剛介(同)と共にチームを支えた。準々決勝までの4試合、2投手で4四球10失点。快進撃に大きく貢献した。

 特に佐山は全5試合に登板し、2試合で完投。3回戦では7回を投げ1失点と好投が続いた。ただ、準決勝は5回を投げ7四死球10失点。疲労の影響は明らかだった。

 さらに準決勝は6回表を終えて佐山の1週間の投球数が制限に迫る488球に達し、無念の降板。「佐山だけに頼っていては駄目」。そんな考えを抱いて甲子園に臨んだチームだったが、結果的にエースの負担が大きかったことは否めない。

 斎藤智也監督は敗戦後、「継投の時代だから継投というわけではないが、投手としての強さをつくり上げ、育て上げることが指導者に問われることだと思う」と、今後のチームづくりのポイントを語った。

 甲子園では3回戦2日目と準々決勝、準決勝のそれぞれ翌日に休養日が設けられたが、タイトなスケジュールで試合が進むことには変わりはない。球数制限を考慮し、さらに万全の状態でマウンドを守る投手陣の充実を図ることは、上位進出の大きな鍵になるといえるかもしれない。

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