磐城・木村監督...エースの叫びに『涙』 ナインへ最後のノック

 
最後のノックを行う木村監督(左)=30日午後、磐城高

 新型コロナウイルス感染症の影響で中止となった第92回選抜高校野球大会(センバツ)に21世紀枠で出場予定だった磐城を本年度末で離任する木村保監督(49)は30日、いわき市の同校で最後のノックを行った。選手たちはセンバツ出場がかなわなかった悔しさを抱きつつ、全力プレーで恩師への感謝を体現した。

 一礼してグラウンドに入った木村監督は、選手たちのボール回しが終わると、コバルトブルーのノックバットを振るった。前日の雪で土が湿る中、選手19人は打球を追い、甲子園で着るはずだったユニホームを泥だらけにした。

 最後は、部員一人一人が木村監督らへの思いを叫んでからノックを受けた。18人のメンバーから唯一外れた菅波陸哉は「メンバーから外れて悔しい。夏に見返せるよう頑張ります」と、3年生として迎える最後の夏に向けて右翼から力いっぱいバックホーム。エースの沖政宗(新3年)がマウンドで「最後を甲子園で飾れず悔しい」と叫ぶと、木村監督は涙を浮かべた。

 「試合前のような緊張感でノックをしたい」と意気込んでいた木村監督。ノックを終えると「これからゲームが始まりますので、選手たちをサポートしてください」と保護者らに変わらぬ応援を呼び掛けた。

 木村監督との最後の時間を過ごし、夏へ向け気持ちを新たにしたナイン。主将の岩間涼星(同)は「一球一球に重みを感じた。監督の涙を忘れず、夏も全力で戦い甲子園へ行く」と誓った。

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