15人、豪雪超えて甲子園...只見に春が来た 聖光、頂へ高ぶる闘志

 
(写真上)21世紀枠での選抜出場が決まり、喜びを爆発させる只見ナイン=28日午後、只見高(写真下)新井校長から選抜出場の報告を受ける聖光学院ナイン=28日午後、桑折町・聖光学院高室内練習場

 28日に開かれた第94回選抜高校野球大会の出場校を決める選考委員会では、県内から東北枠の聖光学院、21世紀枠の只見の2校が選ばれ、部員や関係者は歓喜に沸いた。

 「甲子園出場が決まりました。本当におめでとう」。伊藤勝宏校長から選抜出場が伝えられると、只見の部員たちは喜びの声を上げ、うれし涙で目頭を押さえる部員の姿もあった。部員15人の野球部をまとめる吉津塁主将(2年)は「指導者や保護者、町の人にこのうれしさを一番に伝えたい」と話し、支えに感謝した。

 積雪約2メートルのグラウンドで跳び上がって喜んだナイン。チームを率いて20年目の長谷川清之監督(55)は部員たちに「甲子園でも練習でやってきたことをしっかりやろう」と声を掛けた。自身も只見町出身で、学法石川高時代に夏の甲子園に出場した経験を持つ長谷川監督は、喜ぶ部員たちの姿を見て思わず涙がにじんだ。

 人口約4000人の過疎化が進む同町にとってナインは希望だ。21世紀枠の東北地区候補にまで選ばれた段階で、同窓会などが協力してユニホームの新調を決めた。新ユニホームは甲子園でお披露目される予定だ。

 ロードワークなどで町内を走ると「応援してるぞ!」や「頑張れ!」との声を受け、力をもらっているというナイン。酒井悠来投手(2年)は「感謝の気持ちを伝えられるよう、日々練習していきたい」と甲子園に向けて闘志を燃やした。

 町民エール、祝福の花火

 選抜出場を受け、只見町内は熱気に包まれた。祝いの花火を打ち上げる町民もおり、「町全体で只見高を盛り上げていく。甲子園でのプレーを楽しみにしている」とナインたちにエールを送った。

 友人と準備していた花火1発を打ち上げた町消防団長で同校OBの目黒邦友さん(65)は「少しでも祝ってやりたかった」と声を弾ませ、活躍を願った。

 ロードワークなどの練習に励む部員の姿を見てきた町内で旅館を営む目黒文雄さん(56)は「この豪雪地帯から甲子園出場は感慨深い。心からおめでとうと伝えたい」と笑顔で話した。

 「感動で心が震えている。こんな名誉は二度とない。健康に気を付け甲子園で躍動してほしい」。同窓会長の目黒敏男さん(72)は同校に駆け付け、部員や同窓生らと喜びを分かち合った。

 聖光「一日一日熱く」打ち込む

 伊達市の校舎で選抜出場決定の電話を受けた聖光学院の新井秀校長は、すぐに部員が待つグラウンドに向かった。「春のセンバツ出場が決まりました」と報告をすると、部員たちには喜びの表情が広がった。赤堀颯(はやと)主将(2年)は「日本一を掲げ、どこのチームよりも一日一日を熱い練習にしていく」と闘志を燃やした。

 秋季県大会を3年ぶりに制覇し、出場した東北大会で強豪校を破って準優勝し、選抜出場を有力とした聖光学院。選抜出場が決まり、ナインの気持ちは高ぶっている。選抜大会での最高成績は2013年のベスト8。今大会では「泥くさく粘りのある野球」を掲げ、高みを目指す。

 斎藤智也監督(58)は大会に向けて「打撃力の向上が鍵」と話した。ナインは室内練習場でのティー打撃に時間を割いており、赤堀主将は「ボールをバットの芯で捉える確率が上がっている」と練習の成果を実感している様子だった。

 吉報を受け関係者や地元の伊達市にも歓喜が広がった。浅倉俊一同窓会長(72)は「悔いのないようにチーム一丸となって、全力投球で頑張ってほしい」とコメント。同市の自営業会田充さん(68)は「甲子園の舞台で戦う聖光ナインの姿が楽しみ。『勝つ野球』を見せてほしい」とエールを送った。

 祝賀看板を設置

 福島民友新聞社は28日、聖光学院の4年ぶりの選抜出場を祝う大看板を、伊達市保原中央交流館前の陣屋通り沿いに設置した。

 「祝 甲子園出場!!聖光学院高校」と書かれた看板は縦0.9メートル、横5.4メートル。通りは人や車の往来が多いメインストリートで、通行者から注目を集めていた。

 知事「活躍期待」

 2校の出場決定を受け、内堀雅雄知事は「これまでの練習の成果を存分に発揮し、大いに活躍することを期待している」と激励した。県高野連の木村保理事長は「県内の球児の刺激にもなったはず。両校とも春のセンバツに向け最高の準備をして挑んでほしい」とエールを送った。

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