只見エース・酒井悠来、堂々108球 仲間に感謝7回4失点粘投

 
【只見―大垣日大】先発した只見のエース酒井悠

 甲子園のマウンドでも普段通り、練習通りの投球を心掛けて打者に立ち向かった。只見のエース酒井悠来(はるく)(3年)は7回4失点の粘投を「ありがとうを伝えたい」と仲間や家族にささげた。

 グラブに刻んだ刺しゅうは「戮力協心(りくりょくきょうしん)」。酒井は「みんなで力を合わせて取り組めば、いい結果が出る」と刺しゅうの意味を胸に、バックを信じて打たせて取る投球に徹した。毎回、走者を背負う苦しい展開となったが、中学時代からバッテリーを組む山内友斗(3年)のサインにうなずき、コースの内外に丁寧に投げ分ける。フルカウント勝負で何度も踏ん張り、バックも懸命に酒井を支えた。

 酒井の生命線はコースを投げ分ける制球力だ。冬場はボール1個分の穴を開けた雪の壁に同じように球を投じた。5球1セット。目掛けた所に投げられなかった時は腕立てをして精度を磨いた。「四球は出したが、要所要所でストライクを取りにいけた」。強打の大垣日大打線との対決を振り返った。

 試合後、一番最初に言葉にしたのは、甲子園を目指すきっかけをくれた祖父雅好さんへの感謝の思いだ。町で食堂を経営する野球好きの祖父の影響で、夏の甲子園をテレビで観戦し、いつしか「(弟の怜斗と)兄弟で只見から甲子園に行きたい」という夢ができた。

 「甲子園でしっかり投げられたことを誇りに、家に帰ったら、じいちゃんと語り合いたい」と酒井。夢の舞台で投じた108球、マウンドからの景色を真っ先に伝えるつもりだ。(坂本龍之)