◇春季東北地区高校野球福島県大会・第３日（１９日・あいづ球場ほか準々決勝４試合）

　【評】緊迫の投手戦は聖光学院が制した。２回先頭の三田寺が安打で出塁し、２死から佐山の適時打で先制、この１点を守り切った。先発佐山は１１奪三振。福島商は被安打４と好投した先発山田を援護できなかった。（弥永真依）

　筋力アップの三田寺、打撃好調

　２回、先頭打者で中前打を放って出塁し、先制の起点となった聖光学院の三田寺大吾（３年）。「自分はつなぎの役割。役割を果たして（先制点という）結果に結びついた」と冷静に振り返った。

　今大会からスタメン入りした三田寺。昨秋から筋力アップに取り組み、体重は１０キロ増量した。下半身に意識を向け、軸足が安定すると安打が出るようになり、打撃は好調が続いている。

　決勝進出が懸かる次戦は学法石川。「次も苦しい展開になると思う。粘り強く相手に食らいつく」と表情を引き締めた。

　山田この１失点を糧に

　気持ちのこもった力投も、勝利にはつながらなかった。福島商のエース山田朋樹（３年）は、今春のセンバツに出場した聖光学院を相手に４安打１失点と堂々の投球を見せたが及ばず。エース左腕は「周りが自分のためにしっかり守ってくれた。点を取られてしまったことは申し訳ない気持ちでいっぱい」と涙が光った。

　制球力が課題で昨秋の背番号は「１０」だった。冬にはキャッチボールから見直して制球力が上がり、今大会はエースとして臨むまでに成長した。この日は持ち味の右打者内角への直球を軸に試合をつくったが、変化球が決まらず７四球。「好打者を前に気持ちの弱さが出てしまった」と悔しさをにじませた。

　強豪相手に１失点と夏につながる投球を見せた山田。「変化球の切れや制球力を上げ、どのチームと対戦しても０で抑えられる投手になりたい」とさらなる成長を誓った。