◇春季東北地区高校野球福島県大会・第４日（２１日・白河グリーンスタジアム　準決勝２試合）

　【評】光南が投打で圧倒した。１回無死二、三塁から小林の右前適時打で２点を先制。石本、湯沢の適時打もあり一挙５点を挙げた。４回にも金沢と石本の２点二塁打で得点を重ねた。投げては先発小林が７回を零封。学法福島は４回、市村の右前打を起点に１死二塁とするなど好機も築いたが生かせなかった。（八巻雪乃）

　石本「ヒットが出てほっとしている」

　暗く長いトンネルをようやく抜け出した。ここ３試合、８打席に立って１安打と不調だった光南の石本星空（きら）（３年）は、２安打を放ちチーム最多の３打点を挙げた。「ヒットが出てほっとしている」と安堵（あんど）の表情を浮かべた。

　両手に残った感触で最高の結果を確信した。初回、１死一、二塁の好機で打席に立った。「チームのために自分のできることをやろうという思いだった」。外角の直球を右中間へとはじき返し、球場を覆う曇天を切り裂くような鋭い打球を飛ばした。二塁に到達すると雄たけびを上げ、右腕を高く突き上げた。

　これまで不調だった原因を「ヒットを打たなければいけないという思いで焦ってしまい、重心が前にいってしまっていた」と振り返る。この日は軸足にしっかりと体重を残すことを意識し、東北大会への切符をつかみ取る勝利に貢献した。

　６年ぶりの決勝進出となった光南。昨秋県大会の３回戦で敗れた聖光学院と顔を合わせる。「前回は１―５で負けて悔しい思いをしている。今の自分たちの実力を確かめたい」と石本。この日の勝利で東北大会出場を決めたが、チームの目標はまだ先にある。（副島湧人）

　小林安定感、７回を零封

　今大会２度目の完投勝利を挙げた光南の小林貫大（かんた）（３年）は、切れのある直球とスライダーを武器に相手打線を零封する圧巻の投球を披露。「相手の勢いに負けず、自分らしく投げ抜こうと決めていた」との思いをマウンドで体現した。

　降雨による中断にも集中力を切らさなかった。中断明けの４回１死二塁のピンチでは冷静に後続の２者を打ち取り、流れを渡さなかった。「ベンチで受けた仲間の声がけで集中を維持できた」と振り返った。

　ここまで全４試合に登板し、２１イニングで喫した失点はわずか「１」。「一戦必勝の気持ちを忘れず戦い抜く」と、決勝への決意を口にした。

　学福、執念の初回継投

　「流れを引き戻す覚悟でマウンドに上がった」。学法福島の塙大和（３年）は初回、５点を先行されてなお得点圏に走者を背負う苦しい場面で登板すると、左横手から投じる緩急を生かした投球で追加点を阻止した。

　右翼手で先発したが登板の機会は早速訪れた。試合前に藤森孝広監督から「初回からいくぞ」と告げられていて、臨んだ１回１死一、二塁のピンチ。コーナーを広く使う丁寧な投球で無失点で切り抜けた。

　圧巻は３回のマウンド。四隅にボールを散らして相手打線に的を絞らせない。「コントロールミスがなかった」と自負する投球で３者連続三振に切った。

　４回、２巡目の対戦となった相手打線につかまり、その回で降板。残り１枠の東北大会の出場が懸かる３位決定戦に向けて「直球と変化球でインコースを厳しく突く」と巻き返しを誓った。