聖光、打線本領 不振の山浅、気持ちで本塁打

 
【学法石川―聖光学院】2回裏聖光学院1死走者なしから先制の左越え本塁打を放った山浅=白河グリーンスタジアム

 ◇春季東北地区高校野球福島県大会・第4日(21日・白河グリーンスタジアム 準決勝2試合)

春季高校野球福島県大会準決勝

 【評】聖光学院が16安打の猛攻でコールド勝ちした。2回に山浅の本塁打で先制。3回には4連続安打や犠飛などで4点を奪い突き放した。先発の小松は打たせて取る投球で、7回途中までを投げ、6安打2失点と粘投した。学法石川は4回に満塁の好機をつくるなどしたが、打線がつながらなかった。(津村謡)

 山浅「縮こまらず振り切れた」

 打撃不振払拭を誓う一振りが打線の導火線になった。聖光学院の山浅龍之介(3年)は2回、チーム初安打初得点となる左越え本塁打で勢いを呼び込んだ。「縮こまらずしっかり振り切れた」と安堵(あんど)の笑みがこぼれた。

 気持ちの強さがこもった一撃だった。1死走者なしで迎えた初打席の初球だった。「自分の間合いで打席に立てた」と外角変化球を捉えて角度十分に左翼席へたたき込んだ。「技術ではなく気持ちで届いた打球」という高校通算9本目のアーチで先陣を切った。

 斎藤智也監督が「今大会一番苦しんでいた打者」に挙げる山浅。打席で考え過ぎて気持ちに焦りが生まれ、スイングを崩す場面が多く見られた。

 勝ち進むチームにあって打撃で結果を残せない―。募る焦燥に対し、心のよりどころとなったのは指導者陣とチームメートだ。試合前日にはコーチの一人から「おまえなら大丈夫」と声をかけてもらったことで気持ちに余裕が生まれた。「落ち込んだときも支えてくれる」。山浅にとっての準決勝は、チームの力になる思いをより強くして臨んだ舞台だった。

 東北大会出場を決めたが隙は見せない。「目標は日本一。負けていい試合は一つもない」。今度は仲間への恩返しの思いで決勝の舞台に立つ。(小野原裕一)

 昨秋以来の先発、小松好投

 聖光学院の先発小松桜吏(おうり)(2年)は昨秋の県大会決勝以来の先発で、勝利を呼び込む好投を見せた。「朝から心臓がバクバクでした」と話したが、7回途中2失点と堂々の投球を披露した。

 東北大会出場の懸かる大事なマウンドでは、どの打者にもコースを意識して勝負。スライダーがさえわたり、打者を翻弄(ほんろう)した。

 聖光学院の投手陣は、エースの佐山未来(3年)や小林剛介(同)が中心。「2人を投げさせる前に、自分が投げて試合をつくっていきたい」。2人に並ぶ存在に成長することを誓った。

 学石菊池、待望の登板

 「体格の良い選手が多く、打線の圧に負けてしまった」。学法石川の菊池颯太朗(3年)は4回から投げ、9安打4失点と相手打線に圧倒された。自分らしい投球を見せられなかった。

 今大会初登板の菊池は、打たせて取る投球でテンポ良く投げるスタイル。しかし、今年の選抜高校野球大会を経験した聖光学院打線にスタイルを崩された。「気持ちで弱さが出てしまった」と悔しさをにじませた。

 昨春の県大会決勝でも聖光学院と対戦した学法石川。菊池は投手としてベンチ入りしていたものの出場する機会は巡ってこなかった。「昨年は見ることしかできなかった。今年は絶対に投げたかった」。この試合に懸ける強い思いがあった。

 春での3大会連続の決勝進出はならなかったが、東北大会出場への道は残されている。菊池は「切り替えてチーム全体が一つになって東北大会出場を決めたい」と3位決定戦に向けて意欲を語った。

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