粘りの聖光学院「真骨頂」 秋季東北高校野球、苦しみながら成長
先輩たちの悔しさを間近で見てきた後輩たちが甲子園に近づく価値ある1勝を挙げた。宮城県の石巻市民球場で24日に行われた秋季東北地区高校野球大会準決勝。聖光学院は4年ぶりの決勝進出を決め、来春の選抜高校野球大会(センバツ)出場に大きく前進した。
「(甲子園は)3年生たちが行けなかった場所。ここまで来られたのは奇跡だと思う」。聖光学院の主将赤堀颯(はやと)(2年)は、センバツ出場を大きく引き寄せた一戦を終え、新チームの歩みを振り返った。
秋の県大会も苦しみながら勝ち上がった。大会のチーム打率は2割5分1厘と思うように上がらず、それでも持ち前の守りと斎藤智也監督が「聖光らしい粘り強い野球」と称した終盤の勝負強さで一戦一戦を戦ってきた。
東北大会も初戦は安打数で相手を下回りながら、終盤に逆転する薄氷の勝利だった。「どれだけ結果にとらわれずに普段通りの野球ができるか」。大会前、そう課題を挙げていた斎藤監督の不安を選手たちがようやく払拭(ふっしょく)したのが準々決勝だった。試合序盤から打線が本領を発揮し、2桁得点でのコールド勝ち。準決勝も主将の長打から先制すると、中盤の大量得点で相手エースを降板させた。苦しみながら勝ち進んできた中で成長し、殻を破ったナインに斎藤監督は「勝つことがふさわしいチームになってきた」と目を細める。
夏に見た先輩の涙
今夏、戦後最多となる夏の甲子園の連続出場が13大会で途切れ、ナインは涙を流す先輩たちの姿を間近で見てきた。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で甲子園自体が中止となり、「常連」の聖光であっても出場は当たり前のことではなくなった。
チーム始動時、選手たちがまず目標に掲げたのは秋の地方大会優勝チームが集う「明治神宮野球大会」出場だった。「センバツは文字通り『選ばれるもの』。神宮大会は自分たちの力で勝ち取れるものだから」と赤堀は言う。センバツ出場が有力となってもナインに満足感はない。見据えるのは4年ぶりの東北の頂点だ。
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