マラソン代表選考「MGC」15日号砲 今井正人、五輪へ集大成

 
悲願の五輪出場へ。MGCの号砲を待つ今井正人

 東京五輪のマラソン代表の座を争う「グランドチャンピオンシップ」(MGC)は15日、東京都を舞台に開催される。県勢で唯一出場する今井正人(35)=トヨタ自動車九州、南相馬市出身。「まだまだ進化の過程」と話すベテランは、一発勝負のレースで悲願の五輪切符を狙う。

 「これが最後だとは思っていないが、これまでの経験を生かすという意味で集大成のレースにしたい」。13日、都内で行われた公式記者会見。大迫傑(ナイキ)、設楽悠太(ホンダ)ら、若手の注目株らと共に並んだ今井は、レースへ懸ける思いを口にした。

 男子出場選手中2番目の年長者。箱根駅伝で元祖「山の神」と称された男は、すでに実業団選手として13年目のシーズンを迎える。30歳を超えてからは肉体的な面から、いつも「これが最後のレース」と思って取り組んできた。

 世界大会の出場経験はないが「世界で戦うというのは、五輪が最高の舞台と思っている」。MGCで用意された五輪代表枠は二つ。だが、今井が見据えるのは「1番」の切符だ。「みんなが1番を狙っている。2番でもいいやなんて思う人はいない」

 そんな中で今井が自身の強みとするのは「経験」だ。

 野球部に所属していた中学時代。"助っ人"として中体連陸上に出場。陸上の魅力を知り、原町高で本格的に競技に打ち込んだ。順大に進み、2年時の箱根駅伝では山上りの5区で11人抜きの区間新記録をマーク、「山の神」と呼ばれるようになり、一躍全国区の知名度となった。

 しかし、実業団では苦戦が続いた。やっとの思いで初の日本代表の座をつかんだ2015年の北京世界選手権。大会まで1カ月を切った7月下旬に髄膜炎を発症して選手権を欠場。翌年の東京マラソンでも日本人5位の成績で、リオデジャネイロ五輪出場の夢はかなわなかった。その後も太ももの疲労骨折とけがが重なるなど、不運に見舞われた。

 レースをこなしながら昨年、一つの大きな決断をした。「思い切って休む」。約半年間、チームの全体練習から離れ、練習量を抑えた。

 「走りたい気持ちをためた」と今井。マンネリ化していた競技への向き合い方を変えると、調子は上向きに。今年3月の東京マラソンで日本人2位となると同時にMGCの出場権を獲得。復活を果たした。

 「経験の引き出しを全て開けてでも、最後に胸一つ前にいられる勝負をしたい」。MGCや東京五輪を競技人生の区切りにするつもりはない。紆余(うよ)曲折を経た35歳が、大勝負に挑む。

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