大八木監督「男だろ!」奇跡へギア 箱根駅伝・駒大13年ぶり総合V

 
総合優勝の喜びを語る駒大の大八木監督=東京・大手町

 第97回東京箱根間往復大学駅伝は3日、神奈川県箱根町から東京・大手町までの109.6キロで復路が行われ、大八木弘明氏(会津若松市出身)が監督を務める駒沢大が10時間56分4秒で13年ぶり7度目の総合優勝を果たした。4度目の出場で初めて往路優勝した創価大が逃げ切りを図ったが、最終10区で石川拓慎が3分19秒差をひっくり返した。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で開催された正月の風物詩。応援自粛が呼び掛けられ、主催の関東学生陸上競技連盟によると沿道の観戦者は前回の121万人から約18万人に減った。コースでは例年よりまばらな観衆が、もつれた優勝争いに拍手を送った。

 諦めない気持ち届いた

 劇的な大逆転だった。3日に行われた箱根駅伝の復路。最終区で3分以上の差をひっくり返し、総合優勝した駒大の大八木監督は「諦めない気持ちが優勝につながった。なかなか勝てなかったから最高にうれしい。選手に感謝したい」と13年ぶりの栄冠に浸った。

 「男だろ!」「区間賞と優勝だ」。最終10区終盤、追い上げる石川拓慎(3年)に、箱根駅伝の名物にもなった強い掛け声が飛んだ。

 「9区が終わった時点で3分も離れていたんで無理かなと思っていた」と大八木監督。直後に石川はペースを上げ、怒濤(どとう)の追い上げを始めた。「監督のげきは動きを切り替える力になる」。先頭でゴールテープを切った石川は笑顔でそう振り返った。

 2004年に監督に就任し、駒大を「平成の常勝軍団」と呼ばれる強豪校に成長させた。しかし近年は低迷が続いた。それでも「(選手育成は)やりがい。自分も成長できるのも面白い」と情熱を失うことはなかった。

 今大会は選手に本県出身者こそいないが、藤田敦史ヘッドコーチ(清陵情報高卒)との師弟コンビで駅伝を指導。会津出身らしく指導の秘訣(ひけつ)は「『ならぬことはならぬ』かな。まずは規則正しい生活を送るところからです」と話し、今も指導者として「駅伝王国福島」を引っ張る存在の一人だ。

 「県民の皆さんには、藤田ヘッドコーチと一緒に子どもたちをしっかり育てていることを見てほしい」と話す大八木監督。来季は三大駅伝制覇を狙う一方、「オリンピック選手を育てていく」とも宣言。大学駅伝の名将となった会津人が次は「令和の常勝軍団」を目指して奮闘を続ける。

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