希望の火は消えない 福島民友記者が見た福島県内・聖火リレー

 

 3日間にわたる県内聖火リレーが幕を閉じた。新型コロナウイルスの影響による延期決定から1年。2月の本県沖地震によるルート変更、コロナ禍によるランナーの辞退などあったが299人が希望の火をつなぐ役目を全うした。走者それぞれの思いとともに復興や多様な本県の魅力、スポーツの力が発信された。

 初日の25日、東京電力福島第1原発事故の影響が色濃い双葉郡をスタート。聖火は懸命に前へと進む人々の姿を伝えた一方で、10年前から止まったままの町や人の心も映し出した。

 2日目の26日、浜通りから中通り、会津地方へと横断。聖火を通して見える景色がドラマチックに変化した。福島市から猪苗代町の磐梯山に「瞬間移動」した聖火はスキー場のゲレンデを滑り降り、歴史情緒あふれる町並みを通過した。三島町では海外でも人気の絶景スポットで大自然と"共演"。コロナ禍で打撃を受ける観光地に光を届けた。

 最終日の27日、会津地方から再び中通りへ。東京五輪の成功を願うオリンピアンや本県出身アスリートによってつなげられた。スポーツの素晴らしさ、4年に1度の夢舞台に立つ過酷さや喜びを知る選手たちが次代にエールを送った。

 聖火リレーの実施に否定的な意見もあった。聖火が消えるアクシデントも起き、聖火をつなぐ意味も問われたが、何事もすべてが順調にいかないことを私たちは知っている。ランナーの姿に力をもらい、そして沿道の応援がランナーの力になった。第二の円谷幸吉を輩出しようと設立された円谷ランナーズのメンバーの一人は「円谷選手を目標にオリンピックを目指したい」と誓った。心にともった希望の火は消えず、伝わっていくはずだ。福島から始まった聖火リレーが全国につながることを願っている。

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