「最後の箱根駅伝」熱く 学法石川高で同期3人「福島に元気を」

 
箱根駅伝メンバーの練習を先頭で引っ張る早大の半沢(前列右から2人目)

 29日に区間エントリーが発表された東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝、来年1月2、3日)。エントリーした福島県勢選手12人のうち、4年生の3人が最後の箱根駅伝を迎える。3人は半沢黎斗(早大、広野町出身)、加藤広之(日体大、いわき市出身)、久納碧(法大、郡山市出身)の学法石川高の同期生だ。大学入学後も意識し合ってきた仲だけに、「互いに最後の箱根路で悔いのない走りを見せ、故郷の福島を元気づけたい」と気合十分だ。

 早大・半沢 古里広野が心の支え

 「結果を残して気持ちよく引退したい。最後はチームで喜び合いたい」。早大の半沢黎斗は快走を誓う。

 高校3年時の全国高校総体1500メートルで当時日本高校歴代2位のタイムで優勝。鳴り物入りで大学に入ったが伸び悩んだ。

 「1500メートルの半沢」というイメージと闘い、もがき苦しんだ。2年時の箱根駅伝で6区を走って区間19位。3年時も7区にエントリーされながら肉離れで当日変更された。

 今季も中盤まで体調が整わない中、夏合宿の終盤に復調しエントリーを勝ち取った。いつも心の支えは復興に向かう古里・広野町への思いだった。

 小学5年時に震災と原発事故に遭い、いわき市で避難生活を送った。苦しくても陸上をやめなかったのは「活躍をメディアに取り上げてもらい、広野町民に頑張っている姿を見てもらいたかったから。その思いがなかったらとっくにやめてる」と明かす。

 そして、もう一つの支えが加藤や久納ら学法石川高の同期だ。「最後は3人で良い結果を残せればいい」。そう願っている。

 半沢は大学卒業を機に競技を引退し、大手電機メーカーに就職する。今後は高校の先輩と共に本県で陸上の普及活動に参加する考えだ。「思い描いた大学4年間ではなかったが、自分は走ることでしか伝えられない。頑張っている姿を届けて福島の復興に貢献したい」。その思いを箱根路にぶつける。

 法大・久納「恩返しの走りを」

 「箱根の借りは箱根でしか返せない」と語るのは法大の久納碧。前々回の箱根駅伝では1区19位に終わり「がむしゃらに走った。単純に力が足りなかった」と悔しさが残っただけに、「陸上人生の最後のレースで最大限の頑張りを見せたい」と活躍を期す。

 昨季は膝を痛めて思うように走れなかったが、今季は単独走に磨きが掛かり、11月にハーフマラソンで自己ベストを更新するなど好調。「お世話になった人たちに走りで恩返ししたい」とシード権獲得への貢献を誓う。高校時代から半沢や加藤らと切磋琢磨(せっさたくま)し刺激を与え合ってきた。「同期には負けたくないが、半面は頑張ってほしい」とも願う。来春から東京の一般企業に就職するため箱根路がラストラン。「福島を元気づける走りを見せる」と力強い。

 けがに苦しんだ日体大・加藤「競技人生の転換点」

 「憧れの箱根路を走る。競技人生のターニングポイントだ」と語気を強めるのは日体大の加藤広之。大学入学後、度重なるけがに苦しんできたが、今季は着実な練習で持ち味の単独走の安定性に自信を深めている。

 これまで同期生の半沢や久納が箱根デビューを飾る中、加藤は結果を出せずにもがき続けていた。「自分だけ取り残されたのが悔しかった。同期生は刺激になり、今年こそは走りたいという思いが強まった」

 初のエントリーを受けて「目標のシード権獲得に貢献する」と前を向く。大学卒業後は新設の実業団「メイクス」で競技を続け、トラックやマラソンに挑戦していく。「まずは箱根路で力強い走りを見せる」と意気込んだ。

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