2度目の箱根路、思い胸に... 福島県勢ランナー2人が好走

 
区間3位でたすきをつなぐ中大・中沢=戸塚中継所

 3日行われた箱根駅伝の復路では、2度目の箱根路を走った2人の福島県勢ランナーが好成績を収めた。古里への思いや大切な人のため、1年に1度の晴れ舞台に前回以上の思いを持って駆け抜けた。

 「祖父に見守られた」 東洋大アンカー清野、3人かわす

 「じいちゃんに見守られながら走ることができました」。東洋大のアンカー清野太雅(3年、喜多方高卒)はフィニッシュ後、区間2位で東洋大を総合4位に押し上げた力走が、1日に75歳で亡くなった祖父の高橋定夫さんにささげるものであったことを明かした。

 清野は子どものころから、正月には伊達市の祖父の家を訪れ、箱根駅伝を見ることが恒例だった。祖父は、走ることが好きで、サッカーや陸上などで活躍する孫が、箱根駅伝に出場することを願っていた。清野は、祖父の期待に応え、東洋大の箱根駅伝の選手となった。

 前回大会ではアンカーを務め総合3位に貢献したが、自分としてはあまり納得できない走りだった。しかし、祖父は「走ってくれて本当にうれしかった」と心の底から喜んでくれた。

 2年連続2度目のアンカーとして箱根に臨む直前、祖父の訃報が届いた。心中を察した酒井俊幸監督(学法石川高卒)は「おまえなら頑張れる」と、背中を押した。気持ちは大きく動揺していたが、監督の言葉で心を決め箱根の舞台に立った。

 レースでは、アンカーとして7位でたすきを受け取った。強い気持ちは、清野に1秒を削り出す、東洋大伝統の「鉄紺の走り」を体現させた。大手町のフィニッシュ地点までの23キロで3人をかわした。「総合3位以内が目標だった」と3位を走る駒大の背中を懸命に追った。あと一歩届かなかったが、その差はわずか2秒だった。

 酒井監督は「家族のために走っていた。立派だった」とたたえた。清野は「今日の走りは、祖父も喜んでくれていると思う」と語った。

 「復路の要 果たせた」 中大・中沢、シード獲得貢献

 中大の中沢雄大(3年、学法石川高卒)は、8区で区間3位の走りを見せ、総合6位、10年ぶりのシード権獲得に貢献した。「復路の要として9区、10区の選手に楽をさせる役目は果たせた」。7位でタスキを受け、冷静な走りで4人を抜いて3位に浮上させた。途中で足がつってしまい「もっと耐久力があれば区間賞も狙えたのに」と悔やんだ。

 前回は7区区間5位で、ロードの安定性に定評がある。今回の8区は約15キロ地点の坂までに前に追い付き、坂道以降から引き離すという、思い描いた通りのプランで走り抜いた。次の箱根は最終学年として迎える。「トップで戦える強いチームを目指す」と意気込む。

 小学生から網膜剥離症を患い、サングラスをかけて走る。「球技ができず陸上を始めたが、幸い適性があった。何が生きてくるか分からない」と苦笑い。出身地・石川町にある学法石川高で成長を遂げ、古里や母校への思い入れは強い。

 今大会の8区。同校の2学年後輩の吉田凌(創価大)を抜き去る際に「一緒に行くぞ」と声を掛けた。「ライバルチームだが、後輩の吉田が奮起すればと思った」と振り返る。長距離の名門となった同校出身者は各チームで活躍しており「学法石川勢で大学長距離界を盛り上げ切磋琢磨(せっさたくま)していく」と語った。

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