会津出身の名将有終飾る 駒大・大八木監督が勇退、後任に藤田氏

 
(写真左)大八木弘明監督(写真右)藤田敦史ヘッドコーチ

 第99回東京箱根間往復大学駅伝は3日、神奈川県箱根町から東京・大手町までの109.6キロで復路が行われ、大八木弘明監督(64)=会津工高卒=率いる駒沢大が10時間47分11秒で2年ぶり8度目の総合優勝を果たした。昨年10月の出雲全日本選抜、同11月の全日本と合わせ、史上5校目の大学駅伝3冠を成し遂げた。

 大八木監督は優勝会見で今年3月に退任し、総監督に就く意向を表明した。後任は駒大OBで男子マラソン元日本記録保持者の藤田敦史ヘッドコーチ(46)=清陵情報高卒=が務める。

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 「素晴らしいプレゼントをくれた。選手には感謝しかない。こんな幸せな監督はいない」。勇退を表明した駒大の大八木弘明監督は悲願の大学駅伝3冠を果たしたレース直後、選手たちの手で3度宙を舞った。

 突然の表明だった。優勝会見終了間際、私事としてこう切り出した。「今年で監督を退きます」。報道陣に驚きが広がった。母校駒大を指導し29年目。常勝軍団を築き、大学三大駅伝は27度制した。運営管理車から発せられる大八木節は箱根の風物詩となり、今回も勝負どころでは大声が響いた。一方、合宿先や寮で選手とサウナに入って陸上談議に花を咲かせるなど人望も非常に厚かった。

 「駒大で指導してきて本当に楽しかった。だが部員全員を見るのも体力的にきつくなってきた」。長年、寮母を務める妻京子さんについても「女房にも休んでもらいたい」と気遣った。後任は、教え子の藤田敦史ヘッドコーチ。「3年生以下の選手層は厚い。2年連続3冠をやってもらいたい」と期待した。総監督として大学に残り、卒業する強豪選手を中心に指導する考えだ。

 会津若松市出身の会津人で、指導の基本には「ならぬことはならぬ」がある。「長年、地元や福島県から応援をもらってきた」と感謝しつつ、昨年の全国中学校駅伝大会に出場した母校高田中(会津美里町)を引き合いに「駒沢大の走りが後輩たちに良い刺激になったかな」と気にかけた。昨年11月には父を亡くしたが「おやじが天国から見てくれたと思う。だから勝てって言ってくれた」と古里・会津を思い浮かべた。

 指導者として競ってきた東洋大の酒井俊幸監督(46)=学法石川高卒=は「あとは藤田と頑張れ」と言葉をかけられたといい、「『世界を見据えた指導をしなきゃいかんぞ』と温かい言葉を頂いていた。たすきを受け継ぐ」と決意した。(国分利也)

 「競える選手層構築」 東洋大・酒井監督

 苦しみながらも18年連続のシード権を獲得した東洋大の酒井俊幸監督(学法石川高卒)は「一時は19位にまで下がり、二度と味わいたくない最後方の景色を見た」と吐露。今後のチームづくりについては「(欠場したエースの)松山和希(3年、学法石川高卒)を中心に、競える選手層を構築しなければならない。留学生がいない中、往路の態勢をどう築くかが課題だ」と語った。

 「出遅れ立て直せず」 国士舘大・小川監督

 総合19位となった国士舘大の小川博之監督(田村高卒)は「復路の序盤に出遅れ、立て直すことができなかった」と肩を落とした。

 往路15位と復路での巻き返しを狙った。しかし最初の6区で二つ順位を落とし、その後も順位を上げることはできなかった。小川監督は「悔しさを次に生かせるように練習を重ねる。流れが悪くなってもレースを立て直せる選手を育てたい」と前を向いた。

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