床や柱に福島県産木材のぬくもり...五輪選手村「交流施設」公開
東京・晴海に建設が進む東京五輪・パラリンピックの選手村の交流施設「ビレッジプラザ」が29日、報道陣に公開された。本県など全国63自治体から寄せられた木材約1300立方メートル分を床や柱などにふんだんに取り入れたのが特徴だ。全体に木の香りが漂い、ぬくもりを感じさせる空間を演出している。施設は4月末に完成する予定だ。
県によると、県内のスギとヒノキ計113立方メートル分が柱や床、はり、土台などに使われた。県内の工場で製材、加工を経て昨年6~10月に現地に納入された。
建物全体で使用された約4万本の角材1本ずつに産地の自治体名が印字され、県産材には「福島県」と明記されている。玄関口に当たるメインエントランスや雑貨店ができる棟の柱、床などに県産材が登場し、存在感を示している。
組織委員会によると、ビレッジプラザは、選手らの宿泊棟が立ち並ぶ場所の東側に造られ、各国選手団の入村式が行われる。平屋で5棟13室に分かれ、延べ床面積は約5300平方メートル。
雑貨店のほか、カフェや花屋、写真店、銀行、郵便局、観光案内所などが入り、選手や家族、関係者が利用する。報道陣が取材するメディアセンターも兼ねる。
部屋の用途に合わせて3種類の工法を採用した。中でも、3本の角材をねじるように組み合わせ、強度の高い柱にする「レシプロカル架構」の工法では、県産ヒノキが用いられた。
組織委は大会を全国的に盛り上げるため、木材の提供を呼び掛けた。閉村後は解体して本県など63自治体に返し、レガシー(遺産)として学校や公園のベンチなど公共施設の資材に活用してもらう計画だ。
各自治体の首長らを招いたお披露目の式典が29日、現地で行われ、本県から井出孝利副知事が出席した。