聖火リレー出発...「震災10年」に発信 Jヴィレッジ・愛川さん

 
聖火リレーのスタート地点だった芝生のピッチ

 聖火リレーが出発するはずだったJヴィレッジ(楢葉町、広野町)では、来年を見据えた準備が進む。新型コロナウイルス感染拡大で「復興五輪」の意味合いが薄まるという懸念の声も上がる中、関係者は「震災10年の節目に復興を発信できるチャンスだ」と気持ちを切り替える。

 芝生のピッチに特設のステージが組み上がり、コース上を47都道府県の花で彩るなど、準備がほぼ整った直前でのリレー中止決定だった。準備の中心を担ってきたスタッフの愛川雄一郎さん(46)は「頭が真っ白になった」と当時を振り返る。

 組織委の計画によると、五輪とともに延期となったリレーは来年3月に始まる予定で、式典の簡素化などが検討されているが、ランナーやルートは基本的に維持される見通しだ。Jヴィレッジも再び出発地の候補となる。

 半年以上にわたって組織委や県、会場設営に携わる業者と成功に向けて綿密に計画を練ってきただけに、蓄積されたノウハウがあるのも強み。

 詳細は今後決まるが、愛川さんは「来年は震災10年の節目。仮にJヴィレッジからの出発が決まれば、すぐにでも準備に動きだせる」と力を込める。

 準備へ検討材料乏しく...福島県の受け入れ対応

 東京五輪の競技日程は延期前の大枠が維持され、来年7月21日にあづま球場(福島市)で行われるソフトボール第1試合日本―オーストラリアでの幕開けが決まった。

 一方、会期中の新型コロナウイルス感染症対策はまだ具体化しておらず、選手や観客の動線を取りまとめる県からは「延期前の計画をどの程度練り直すべきなのか、全体像が見えない」との声が漏れる。

 来夏の五輪を巡っては、感染症対策として関連行事の簡素化や観客数の削減が話題に上っているが、大会組織委が詳細な検討に入るのは今秋以降とされる。本県スタートが予定されていた聖火リレーの運営も不透明で、県が具体的な準備を進める上では検討材料に乏しい状況だ。県は競技日程の決定を受け、交通や観光の案内役を担う「都市ボランティア」1780人の参加意向を月内にも確認する方針だ。

 財源の確保も課題となっている。聖火リレーの中止決定は出発2日前だったため、県は、約2億5千万円を設営や警備に当たる業者に契約通り支払う必要が生じた。来春に同規模のリレーを行う場合、同程度の費用が必要となるだけでなく、新型コロナ対策次第では大幅に経費が増加する可能性もある。県は、国が必要な経費を手当てするよう、ほかの自治体とも連携して求めていく考えだ。

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