サルビアが結ぶ『絆』 東京五輪延期...企業・個人が「里親」に

 
来年に向け咲き誇るサルビア。安藤会長は「最後までやり切る」と力を込める=須賀川市・須賀川牡丹園

 今年の開催が予定されていた東京五輪聖火リレーで、須賀川市のコースを彩るはずだったサルビアの花が全国に広がっている。新型コロナウイルスの影響による五輪の延期で行き場を失った花を企業や個人が「里親」として引き取り、同市出身の1964年東京五輪マラソン銅メダリスト円谷幸吉の名とともに、五輪を通じた新たな絆を結んでいる。

 サルビアは、前回東京五輪の聖火リレーで須賀川市のコースを飾った。同市の市民団体「円谷幸吉・レガシーサルビアの会」が前回大会の「サルビアの道」の復活を図ろうと、本県を出発する聖火リレーコースに展示する目的で育ててきた。

 しかし、3月の聖火リレー直前に東京五輪の延期が決定。会員らが大事に育ててきた約6000株のサルビアの花は行き場を失った。

 救いの手は、東京都から差し伸べられた。サルビアのことを知った都内の城南信用金庫が3月に支援を申し出た。同会の活動を紹介するパネルを作成して届いたサルビアと共に本店に展示したほか、各支店にもサルビアを飾った。

 すると、同会には「サルビアを引き取りたい」などの問い合わせが寄せられるようになったという。同会は県外のほかの金融機関や企業にもサルビアを贈呈。円谷の存在や地元の顕彰活動も全国に浸透してきた。

 思わぬ展開に、安藤喜勝会長(70)は「ありがたい。円谷や私たちの活動に注目してもらえるのはうれしい」と感謝する。

 同会は須賀川市内の小中学校や高校にもサルビアを配布した。5月の円谷生誕80周年の節目には市内のコースに配置、住民らに「里親」になってもらい、水やりなどの世話をお願いした。鉢には円谷の座右の銘だった「忍耐」と書かれたステッカーを貼り、難局を乗り越えようとのメッセージも込めた。同会は来年の聖火リレー実施を見据え、準備を進める考えだ。

 サルビアは、円谷の兄喜久造さん(88)=同市=が64年大会当時の種から代々育ててきた。安藤会長は「喜久造さんから譲り受けた大切な種。中途半端にはできない」と語る。

 感染症の収束が見通せない状況に「来年は無理なんじゃないか、という声も聞かれる。だが、開催を前提に最後までやり切りたい」と力を込める。「サルビアから、円谷という偉大なランナーが思い起こされるようになれば」と願う。

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