相沢、円谷幸吉の言葉『忍耐』胸に 歯食いしばり「自分が勝つ」

 
男子1万㍍で27分18秒75の日本新記録で初優勝を飾った相沢晃=大阪市ヤンマースタジアム長居

 学生陸上界をリードしてきた男が日本新記録を打ち立て、陸上界の新たなスターになった。大阪市で4日に行われた陸上の日本選手権長距離種目男子1万メートル。実業団1年目で須賀川市出身の相沢晃(旭化成、学法石川高卒)が初優勝を飾り、東京五輪の切符をつかんだ。

 「自分が勝つんだ。五輪内定をするんだ」。最後の1周。相沢は歯を食いしばりペースを上げた。スタートから1キロの通過タイムは日本記録を上回るペース。日本選手権の歴代優勝者が次々と脱落するようなハイペースの中で、相沢は最後まで必死にペースメーカーについていった。

 残り1周での日本記録の更新は確実だった。最後は右腕を高々と突き上げてフィニッシュ。優勝後の会見では、同郷の1964年東京五輪マラソン銅メダリスト円谷幸吉が引き合いに出され、「円谷選手の言葉を使うなら『忍耐』。しっかり粘れたことが日本記録につながり、忍耐を体言することができた」と自らの走りを評価した。

 男子1万メートルは今大会、日本記録を上回る東京五輪参加標準記録が設定され、五輪内定は難しいと言われていた。しかし、相沢には大きな自信があった。コロナ禍の活動自粛や春先のけがで思ったような調整ができないまま迎えた10月に自己ベストをマーク。「まだまだいける」。社会人となり、これまで以上に本番を意識した走りや速いペースで練習を続けたことが自信につながっていた。

 円谷が東京五輪に出場したのは24歳の時。今回の五輪延期で、相沢は同じ24歳で初めての大舞台を迎える。「円谷選手も東京五輪の1万メートルに出た。自分も1万メートルで結果を残し、マラソンへのステップにしていければ」。福島が生んだランナーが再び東京五輪を駆ける。

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