【聖火ランナーの思い(中)】マクマイケル・ウィリアムさん

 
本県復興を「やっとスタート地点に立ったところ」と話すマクマイケルさん

 「風評被害やそのほかの課題は改善されつつあるが、個人的にはやっとスタート地点に立ったところだと思う」。カナダ出身の福島大国際交流センター副センター長、マクマイケル・ウィリアムさん(38)は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの10年間、県内を見つめ続けてきた。復興の芽は育ち始めてきたが、本当の復興はこれからだと考えている。

 カナダ人の父と日本人の母の間に生まれ、2007(平成19)年に国際交流員として県内で働き始めた。震災直前の10年に同大に移り、大学職員として国際交流やグローバル人材の育成に関わった。震災が起きたのは、大学の仕事にも慣れ始め、世界のことを学生たちに知ってほしいと奮闘していた時だった。

 海外で伝えられる県内のニュースは、津波被害や原発事故で飛散した放射性物質のことばかり。避難が続く地域がある一方、かつての生活が戻りつつあった県内の実情とは、大きな隔たりを感じた。

 世界的な風評を目の当たりにして取り組み始めたのが「福島アンバサダーズプログラム」だった。同大が協定を結ぶ海外の大学から学生を招き、住民との交流などを通じて本県を学んでもらう短期の留学プログラム。震災翌年から始まったこの取り組みで本県を訪れた学生はこれまでに延べ800人に上る。「復興や震災に立ち向かう人たちの思いを肌で感じてほしかった」。マクマイケルさん自らも本県の実情や復興の現状を学生たちに直接、伝え続けてきた。

 10年前は福島大の学生たちに世界を伝える立場だった。しかし今は、福島を世界に伝える役割が自分の責任だとも感じ始めている。だからこそ東京五輪の聖火ランナーとして自分が走ることで「(海外にも)改めて福島の姿を知ってもらうきっかけになれば」との思いを抱く。

 海外に広がった本県への風評は根強く、世界的には震災の風化も進み始めている。「でも外国人である自分がこれだけ福島に愛着を持っているということを、福島の人にも知ってほしい」

 福島と世界の懸け橋に―。開催理念に「復興」が掲げられた五輪。そこで自分が走ることの意味を、強く意識している。

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