五輪バド・桃田まさか...1次リーグ敗退 状態万全でも動かぬ足

 
【男子シングルス1次リーグ】コートに手をつき、シャトルを見上げる桃田賢斗=武蔵野の森総合スポーツプラザ

 誰も予想していなかったまさかの敗戦だった。金メダルの最有力候補だったバドミントン男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本、富岡高卒)が1次リーグで敗れた。相手のマッチポイント。代名詞でもあるヘアピンショットのシャトルはネットを越えず、そのまま自分のコートに落ちた。

 1勝同士で並ぶ世界ランキング38位の韓国選手との対戦。「相手の強打に気持ちを押されてしまった」と、序盤から相手のスマッシュにうまく対応できず、足が動かずにシャトルを見送るシーンが目立つ。打開策を模索したが「相手の流れを止められなくなり、自分でもどうしていいか分からなくなった」。第1ゲームを15―21で落とした。

 第2ゲームも相手の勢いを止められない。それでも終盤には5連続得点で17―15と逆転し、世界ランキング1位の執念を見せた。だがラリーで粘られるとミスが続き、相手に先にマッチポイントを握られた。最後のシャトルが自分のコートに落ちると、膝をつきしばらく動くことができなかった。「万全の状態だった」と試合後に語った桃田。ただ「自信を持ってプレーできなかった」と悔やんだ。

 「感謝」の文字をラケットやシューズに刻んで臨んだ初の五輪。2016年リオデジャネイロ五輪を違法賭博問題で棒に振った。約1年の謹慎期間を経て、桃田は競技により真摯(しんし)に向き合うようになった。「自分は変われる」。18年に日本人初の世界ランキング1位、19年は国際大会11大会制覇と強くなるその姿で、自らの歩みを示した。

 昨年1月の海外遠征で交通事故に巻き込まれての大けがや大会の1年延期、新型コロナウイルス感染など五輪直前には、さまざまな困難が降り掛かった。それでもたどり着くことができたこの舞台に、競技生活を支えてくれた多くの人への恩返しを誓っていた。

 5年分の感謝を伝えるにはあまりにも早すぎる幕切れ。「まだ五輪をやっていたかった。この緊張感を味わっていたかった」。失意のエースは涙を拭い、コートを静かに去った。(坂本龍之)

 「パリ五輪へ前向いて」 福島県からエール

 富岡一中から富岡高までの6年間を本県で過ごした桃田。県内からは五輪までの奮闘をたたえ、これからに期待する声が上がった。

 富岡一中時代に桃田を指導したふたば未来学園中バドミントン部の斎藤亘監督(49)は「東京五輪の出場に至るまで逆境の中を頑張ってきた。(1次リーグで敗退したが)本人は頑張った」と五輪での戦いを終えた桃田をたたえた。

 桃田が富岡高時代に寮生活を送った猪苗代町の宿泊施設「あるぱいんロッジ」の元オーナー平山真さん(72)は「1次リーグ敗退は全く想像していなかった」と落胆する。「本人が一番ショックだと思う」と気遣いながらも「私たちが言えることは、これからも桃田には競技を諦めないでほしいということ。3年後のパリ五輪を目指して前を向いてほしい」とエールを送った。

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