レスリング皆川、積極的に前へ 「また戻る」五輪のマットに誓う

 
【女子76キロ級3位決定戦】中国の周倩(手前)と対戦する皆川博恵=幕張メッセ

 33歳で迎えた初の五輪が幕を閉じた。レスリング女子76キロ級の皆川博恵(クリナップ)は2日の3位決定戦で敗れ、銅メダルに届かなかった。「これが私の全力なのかなと思います」と目を赤くした。

 1日の準決勝で敗れた反省から積極的に前に出た。しかし開始2分すぎ、一瞬の隙を突かれる。タックルから体を抑え込まれてのフォール負け。皆川はマットにあおむけとなったまましばらく動くことができなかった。目指してきた2008年北京五輪銅メダルの浜口京子以来、13年ぶりとなる女子最重量級のメダルは遠かった。

 京都府出身。指導者の父鈴木秀知さん(70)の影響で物心つく前からレスリングに興じてきた。新型コロナウイルスの影響で五輪が延期となった昨年6月には、古傷を抱える膝の手術に踏み切り、初めて臨む五輪への不安を取り除いた。

 実戦復帰後の昨年11月には、所属するクリナップが運営するいわき市のレスリング教室「クリナップキッズいわきレスリングクラブ」を訪ねた。子どもたちの姿に「ただただ楽しくレスリングをやっていた頃を思い出させてくれた」。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、重ねてきたいわき市の子どもたちとの交流。「試合で戦う姿を見てもらうことで勇気づけられれば」。五輪に向けては被災地への思いも口にしていた。

 目標だったメダルはつかめなかった。それでも「五輪は本当に素晴らしい舞台だった。どういう形になるか分からないけれど、また戻ってきたい」。そう五輪のマットに誓った。(坂本龍之)

「戦う姿すごかった」いわきから声援 

 いわき市の「クリナップキッズいわきレスリングクラブ」で競技に励む子どもたちも皆川に声援を送った。同クラブに通う同市の佐藤聖蓮君(久之浜一小5年)は「メダルは取れず残念だったが、前に出て戦う姿はすごかった」と自宅で皆川の全ての試合を見届けた。「(皆川が)試合後に『応援してくれた人に申し訳ない』と言っていたけど、そんなことない。全力で戦っているのが伝わってきた。皆川選手のように強くなりたい」と戦いぶりに感激の様子だった。

 また、皆川を指導してきたクリナップレスリング部の今村浩之監督(53)は「五輪出場の夢をかなえてもらった。部として5位入賞も初めてなのでたたえたい」と教え子に感謝した。

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