陸上男子200・山下、収穫の初舞台 予選敗退、日本勢最速タイム

 
【男子200メートル予選】力走する山下潤=国立競技場

 追求してきたコーナリングで世界に挑んだ。陸上男子200メートル予選で敗退した山下潤(ANA、福島高卒)は、初の五輪のレースを終え「前半は良かったけれど、半分ぐらいの力しか出せなかった」と世界との差を語った。

 第4レーンから勢いよく飛び出し、最大の武器であるコーナリングで加速した。直線の100メートルと違い、200メートルはいかに加速力を落とさずコーナーを走り切るかがタイムに直結する。山下が競技を始め、追求してきたのがそのコーナリングだった。「繊細なスピードと出力」と話すコーナリング技術をより確かなものとするため、在学した筑波大では直線スプリントと曲線スプリントの力を発揮する特性についても研究した。

 コーナーを抜けて3位の好位置につけた。ただ課題とする後半の直線100メートルで追い上げられた。しゃがみ込んで電光掲示板を見つめる山下。予選通過はならなかったが、3人の日本勢では最速のタイムだった。

 オリンピアンの父訓史さんや兄航平のように三段跳びに取り組んだ時期もあったが、200メートルは自らの意志で切り開いてきた道だった。初の五輪は「力を出せた」という達成感と「実力不足」という悔しさが半々。でも「決勝まで走れるような記録を持ち、世界陸上や五輪に臨んでいきたい」と山下に涙はなかった。さらなる走りを追い求めていくだけだ。(坂本龍之)

 父「パリへ馬力を」

 山下の父訓史(のりふみ)さん(58)=橘高教諭=は顧問を務める同校陸上競技部の指導の合間にレースを見届けた。「慎重な出だしだったが、得意のコーナーで力を発揮した。本人は悔しそうな表情を見せたが、よくやったとたたえたい」と話した。訓史さんは三段跳びの日本記録保持者で自身もソウル五輪に出場した。「初出場で力を発揮する難しさ、そして陸上は順位が全てだということを実感したと思う。3年後のパリ五輪に向け、もっと馬力をつけ、体をつくって、しっかりと準備してほしい」と期待した。