カヌー・宮田、経験を次世代に カヤックフォア準々決勝敗退

 
【男子カヤックフォア500メートル準々決勝】レース終盤、懸命にこぐ(手前から)水本圭治、松下桃太郎、宮田悠佑、藤嶋大規の日本チーム=海の森水上競技場

 "カヌーのまち"で育った男が東京五輪にその歩みを刻んだ。初出場のカヌースプリント男子カヤックフォア、宮田悠佑(和歌山県教育センター学びの丘、安達高卒)は「ベストを尽くしたつもりだが納得のいく結果ではなかった」と準々決勝敗退を悔やんだ。

 ふくしま国体を機に阿武隈漕艇場が整備された二本松市の出身。2008年北京五輪に出場した4歳年上の久野綾香さんに憧れて五輪を志し、同市2人目となる五輪出場を手にした。

 しかし30歳で立った初めての五輪は、不完全燃焼のまま終わった。4人が力を合わせるカヤックフォアで、宮田の並びは前から3番目が定位置。予選組6着で準々決勝に回ると、準々決勝もスタートから徐々に差をつけられた。「平常心を心掛けたが五輪(の雰囲気)にのまれたかもしれない」(宮田)と生命線ともいえる息の合ったこぎができず、7チーム中最下位でのフィニッシュ。決勝進出を目指していたが、出場11チームで1艇だけ準決勝進出を逃した。

 「同じアジアの中国も速くなっていて日本は置いていかれている」と宮田は危機感を語る。ただ五輪で得た経験は何物にも代え難い。地元では、宮田の背中を追って世界を狙う人材も育ち始めている。「この第一線の戦いで感じた感覚を次の世代へ伝えていきたい」(坂本龍之)

 両親「精いっぱい頑張った」

 宮田悠佑の地元二本松市東和地域では、家族やカヌー関係者らが声援を送った。

 「準決勝をこいでもらいたかったが、強豪がそろう中で精いっぱい頑張った」。宮田の父恵雄(よしお)さん(60)は、母の久代さん(59)と自宅で観戦し、大舞台に挑んだ息子をねぎらった。

 悔いなくカヌーに取り組めるように息子を支え、五輪に向けて頑張る姿を見続けた。一握りのトップアスリートしか出場できない五輪。ましてや自国開催。「出場自体が素晴らしい。大きな夢をかなえた姿を見せてくれて、感謝しかない」。レース後はSNSで「お疲れさまでした」と送った。

 県カヌー協会事務局がある市東和公民館では、遠藤茂雄理事長らがテレビ越しに応援。日本が遅れ出すと「あー」「えー、そんな」などとため息が漏れた。「男子の高いレベルでよく頑張ってくれた。久野や宮田に続く選手を東和から育てていきたい」と話した。

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