【柳津】「斎藤清の墨画展」21日開幕 秘蔵作品や版画など紹介へ

 
斎藤清の墨画の代表作「佐渡」

 会津坂下町出身の版画家斎藤清の墨画作品を紹介する「斎藤清の墨画展」は21日、柳津町の斎藤清美術館で開幕する。版画で世界的な名声を築いた斎藤だが、墨画も生涯に100点以上を残した。個人所有でほとんど一般公開されていない秘蔵作品など、企画展では約50点を展示する。12月1日まで。同美術館の主催。

 「版画ができなくなったときの、進むべき方向を感じ取った」

 同美術館によると、版画で人気作家となった斎藤だが、1960年代に入り、多忙さや肩を痛めたことで創作上のスランプに陥る。そうした時期に出合ったのが墨画。墨画の技術を版画に取り入れることで、斎藤はスランプを乗り越え、画家としての名声を不動のものにした。

 斎藤が墨画と出合ったのは、ほんの遊び心からの挑戦だった。同じ会津出身の画家酒井三良(三島町出身)、洋画家春日部たすく(会津若松市出身)と共催した墨画の展覧会。墨画の手法や表現力に触れることで期せずして人生の転機を迎えた。「墨画の技術が後年の版画に生かされており、斎藤にとっては大きな出合い。独学であれだけの墨画を描く斎藤の力量のすごさを感じる」と、同美術館の伊藤たまき学芸員は語る。

 斎藤は、その表現力を試すかのように、同じ構図、モチーフの作品を墨画と版画でそれぞれ描いている。今回の企画展では、そうした絵の一つ「会津の冬」を対比させて並べ、雪の質感の違いなど墨画と版画のそれぞれの魅力を感じてもらう。

 ほかにも、同美術館が所有する全6点の「慈愛図屏風(びょうぶ)」や、「佐渡」など、貴重な作品の数々を展示する。慈愛図屏風が一挙に展示されるのは今回が初めて。期間中は講演会やギャラリートークも開かれる。

 伊藤学芸員は「降り積もる雪の質感や墨のぼかしなど、斎藤清の表現力を味わってほしい」と話している。