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ふくしまの舞台
熱塩温泉の示現寺
(喜多方市)
福祉に心血 瓜生岩子眠る寺

熱塩温泉の示現寺

紙芝居を通して岩子の功績を後世に伝える玄孫の瓜生悦子さん

 喜多方市熱塩加納町の熱塩温泉街を抜けると深い山あいに寺院が現れる。その示現寺に、同市の出身で「日本のナイチンゲール」とたたえられる瓜生岩子の銅像と墓がたたずむ。
 岩子は、近代日本の社会福祉の先覚者の一人。戊辰戦争の時、激戦地となった会津で負傷者を敵味方なく介抱し、難民の救済にも尽力。さらに孤児を引き取り、亡くなった子どもたちを手厚く弔った。この経験から岩子は、孤児や貧しい子どもたちを救済する本格的な福祉施設の必要性を考えるようになったといわれる。
 1871(明治4)年、上京した岩子は15年ほど救済事業に取り組み、帰郷後は本県を拠点に活動を展開。福祉事業の一つの潮流をつくるまでになる。全国に窮民、貧児の救養所を設置するよう帝国議会に請願したほか、福島、会津若松両市に病院を創設、日清戦争が始まると現地民の救済を訴え奔走した。
 熱塩温泉のホテル山形屋の大女将(おかみ)、瓜生悦子さん(77)は岩子の玄孫(やしゃご)に当たる。数年前から「岩子の生涯」を紙芝居にして地元の小学校などで公演、その大きな慈愛と行動を語り継いでいる。
 悦子さんは「他人を思う慈愛に満ちた岩子の思想はいまの時代にも役立つ。先祖が一生かけた仕事を紙芝居を通し伝えていきたい」と語る。
 そんな子孫の言葉に、ほほ笑んでいるのか。それとも今の世を嘆いているのか。故郷の緑に包まれ岩子像は、両手を組み正座し一点を見つめているだけだ。
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 瓜生岩子(1829−97年) 喜多方生まれ。幼少時代に父を亡くし、後に実家の熱塩温泉・山形屋に戻る。明治29(1896)年、女性初の藍綬褒章を受章した。
 ▽問い合わせ=瓜生岩子刀自顕彰会事務局(喜多方市役所内、電話0241・24・5230)
【 12 】 2008年6月19日 福島民友新聞社・木曜ナビ ほっと面掲載
( 文・松崎裕 写真・一ノ瀬澄雄 )  
 

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