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ふくしまの舞台
いわき湯本温泉
(いわき市)
野口雨情が「再出発」果たす

いわき湯本温泉

雨情が過ごした街並みも開発とともに様変わりした。手前中央の緑色の屋根の建物が童謡館

 いわき湯本温泉の玄関口JR湯本駅は童謡「しゃぼん玉」が発車音。この作品をはじめ「青い眼の人形」「赤い靴」「十五夜お月さん」などの作詞で知られる詩人野口雨情(本名英吉、1882−1945)は33歳の春から約3年半を同温泉で過ごした。ホームから聞こえるメロディーに郷愁を覚えながら雨情ゆかりの場所を訪ねた。
 うちだしの太鼓が響く初秋の街の甍に赤い月−
 湯本滞在時の雨情には創作をしていた様子はほとんどなく、この「劇場の前」が唯一の作品とされる。舞台になったのは、当時、雨情が身を寄せた芸者置屋「柏屋」の前の路地を奥に入った「三函座」(みはこざ)。アーチ型の屋根を持つモダンな芝居小屋で、明治30年代に建てられ、現存している。上演を知らせる太鼓が打ち鳴らされる様子をうたい、後に浜圭介さんの作曲で歌手の森進一さんが歌った。街が様変わりし、雨情が過ごしたころの面影は少なくなったが、その詩に当時の情景を思い浮かべることができる。
 三函座の近くには野口雨情記念湯本温泉童謡館があり、湯本時代の雨情についての貴重な資料を展示している。資料からは、雨情が当時、金銭の工面や私生活で苦悩していたことをうかがい知ることができる。
 同館に資料を提供した里見庫男さん(67)は「雨情にとって湯本で過ごした3年半は作家として再出発するための充電期だったのではないか。湯本での保養は再び彼の文学に懸ける情熱を呼び覚ます原点となった」と話す。
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 いわき湯本温泉 開湯は奈良時代といわれ古くから温泉保養地として親しまれてきた。JR湯本駅前には温泉情緒漂う足湯が、近くにはスパリゾートハワイアンズがある。
 ▽問い合わせ=いわき湯本温泉旅館協同組合(0246・43・3017)
【 13 】 2008年6月26日 福島民友新聞社・木曜ナビ ほっと面掲載
( 文・渡辺智也 写真・吉田義広 )  
 

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