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安珍堂
(白河市)
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「悲恋の主人公」冥福を祈る
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1985年、和歌山県の道成寺から生誕の地へと「里帰り」した安珍像
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歌舞伎「娘道成寺」などで知られる安珍・清姫伝説は、紀州に伝わる悲恋物語。
少女・清姫は、修行中の僧・安珍に思いを寄せるが、裏切られて激怒。蛇身と化し、安珍が逃げ込んだ道成寺(和歌山県)の梵鐘(ぼんしょう)ごと焼き尽くした―。
安珍の生誕の地が白河市萱根根田地区。ここに安珍の像が安置されている。
伝説によると、安珍は熊野山を登った際、途中で泊まった家で清姫と出会う。大変な美形だった安珍に清姫は一目ぼれ。恋慕された安珍は「修行の身。帰りにはきっと立ち寄る」と約束するが、参拝後はそのまま立ち去ってしまい、清姫の怒りに触れる。
安珍像は、もともと道成寺に所蔵されていた。1985(昭和60)年、地元有志の意向もあり、東北新幹線上野駅乗り入れを記念して、生誕の地に「里帰り」した。安珍堂は、各種団体と市民有志から寄せられた浄財で建立。近くには「安珍の墓」もある。
清姫の出身地は和歌山県中辺路町とされる。白河ライオンズクラブと白河ロータリークラブは、安珍・清姫伝説が縁で現地のクラブと交流を続けている。
「安珍忌」の3月27日には、安珍堂の前で県無形民俗文化財「安珍歌念仏踊」が奉納される。
歌念仏踊は江戸時代から続くとされ、「白河根田安珍歌念仏踊保存会」(野崎辰江会長)が毎年、披露。扇を手に持ち、安珍や清姫などに扮(ふん)した地域住民が、鉦(かね)や太鼓に合わせて舞い、安珍の冥福を祈る。
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MAP |
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安珍堂 1986(昭和61)年に建立。堂の近くには、安珍を祀(まつ)る「安珍堂の桜」もある。JR東北線新白河駅から北に車で約15分。東北道白河インターチェンジから同約20分。
▽問い合わせ=白河観光協会(電話0248・22・1147) |
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2008年7月10日 福島民友新聞社・木曜ナビ
ほっと面掲載
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(
文・永野智史 写真・吉田義広 )
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