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ふくしまの舞台
棚倉城下
棚倉町)
田山花袋 青春の思い出の地

棚倉を訪れ美しい情景に触れた花袋は、町内の名勝・旧跡を詠み「棚倉百勝詠歌」に残した

 日本の自然主義文学を代表する作家田山花袋は青年時代、城下町棚倉を何度か訪れている。小説「ある訪問」や短歌集「棚倉百勝詠歌」には、棚倉での見聞などが記されている。
 「ある訪問」では、同町の八槻都々古別(やつきつつこわけ)神社宮司の一人娘との見合い話が語られる。花袋と主人公の青年を重ねることができる作品だ。
 花袋は、東白川郡長だった義兄から見合いの話を受け、同神社と宮司の家を訪問。あいにく見合い相手の娘に会えず母親と言葉を交わし帰宅した。20数年後の作品にもかかわらず、田舎道や雑木林、久慈川など棚倉の風景を細かく描写している。
 「もりかげのやしろの中に相みつるをとめの裳裾(もすそ)今もわすれず」
 文末に出てくるこの歌は、20年が過ぎ、もう一度棚倉に行ってみようか、という思いが込められ、一度も会うことのなかった娘への思いが見え隠れする。
 また、花袋は、町内の名勝・旧跡を歌に詠み「棚倉百勝詠歌」として残した。「大嶽山晴景」「長久寺暁鐘」「蓮家寺鳴鳩」などと題した百首からは、当時の情景が浮かび上がる。「都々古別神社秋月」の歌では、古木が多く茂る神社の閑静さと、木立からのぞく秋月の絶景を詠んだ。
 その神社は今も、樹齢を重ねた杉林に囲まれ、厳かな雰囲気を漂わせる。青年時代の花袋に強い印象を与えた城下町の面影が、時間を超え当時のまま残っているようだ。
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  八槻都々古別神社 農耕神をまつる奥州一宮。南北朝時代から熊野参詣の先達職を務めた修験者の流れを継ぐ八槻家が宮司を務める。別当八槻家は、中世の面影を残す住宅。
 ▽問い合わせ=八槻都々古別神社(電話0247・33・3505)
【 26 】 2008年9月25日 福島民友新聞社・木曜ナビ ほっと面掲載
( 文・加藤 隆史 写真・永山能久 )  
 

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