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土湯温泉
(福島市)
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郷愁のメロディー
誕生30年
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山々に抱かれた「土湯の里」。中心部を流れる荒川の水音が旅人を優しく迎える
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温泉町を彩る美しい四季をつづった「土湯讃歌」。ダークダックスや、さとう宗幸、倍賞千恵子らによって歌われた郷愁を誘うメロディーは、土湯温泉を訪れた人に限らず、多くの県民は一度は耳にしたことがあるだろう。
生みの親の岩田唯男さんは元NHK福島放送局カメラマン。徳島県出身の岩田さんが、土湯の自然への深い観察力と愛情を持って詩を書き上げた背景には、ある友人の協力があった。
岩田さんが吾妻山の自然美を追い求め取材する中、そのガイド役を務めたのが阿部義輔さん(現・川上温泉館主)だった。岩田さんは、阿部さんと行動をともにするうち、土湯温泉と周辺の自然に魅せられ、当時流行していた「青葉城恋唄」のような曲を作れないかと考えた。これが名曲誕生のきっかけだ。
岩田さんの同僚だった菅野栄さんが作曲した手作りの歌は1978(昭和53)年10月、男沼湖畔で開かれた「土湯自然友の会」の例会で初披露。その後、阿部さんらの尽力で人気歌手らがレコード化し、土湯のご当地ソングとして一大ブームとなった。「周囲に恵まれたから、歌を広げることができた」と阿部さんは振り返る。
歌の中で繰り返される「2人っきりでたたずんだ」のフレーズ。聴いた人は恋人同士をイメージしただろう。しかし岩田さんは「あれは阿部さんと自分の姿を描いたもの」と笑う。
今でも名曲に歌われた土湯の自然は、変わることなく息づいている。
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MAP |
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男沼・女沼 男沼から仁田沼を抜け女沼へのルートは、遊歩道が整備され、新緑や紅葉の季節には多くのハイカーでにぎわう。女沼湖畔には「土湯讃歌」の歌詞が書かれた碑も立つ。
▽問い合わせ=土湯温泉観光協会(電話024・595・2217) |
【 32 】
2008年11月6日 福島民友新聞社・木曜ナビ
ほっと面掲載
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(
文・高橋敦司 写真・吉田義広 )
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