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磐城平城
(いわき市)
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平の都市形成の礎築く
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松ケ岡公園にある安藤信正の銅像。高台からいわき市民の暮らしを見守り続ける
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いわき市平、JRいわき駅北側の高台にある丹後沢公園。その一帯に、かつて磐城平藩の居城「磐城平城」があった。
「歴史的に見れば平地区に磐城平城があったことは、現在の都市形成に大きな影響を与えている」。いわき総合図書館長の小宅幸一さん(57)は、平の街の発展の礎をつくったのは磐城平城だと指摘する。
磐城平城は江戸初期、徳川家康の側近鳥居元忠の後継忠政によって約12年の月日をかけ築かれた。夏井川など天然の堀を有し、三層櫓(やぐら)があったとされ、仙台藩の伊達氏など「北方の脅威」から江戸を守る軍事的拠点として重要な役割を担った。
磐城平城を代々守ったのは鳥居家に続き、後の内藤、井上、安藤の各家。このうち、動乱期の幕末に藩主だった安藤信正は、大老井伊直弼(なおすけ)の後を受け、老中として一躍、歴史の表舞台に躍り出た。
信正は、公家(朝廷)と武家(幕府)が協力して政治を行う「公武合体」政策を推進、14代将軍徳川家茂と皇女和宮との婚儀成立に尽力したとされる。
しかし、坂下門外の変(1862年)後に失脚。信正が身を寄せた磐城平城は、戊辰戦争の荒波にのまれ、新政府軍の攻撃を受け落城、その役目を終えた。
現在の街並みからは、平地区が城下町として栄えていたことをうかがい知るのは難しい。城の威容を今に伝えるのは、丹後沢公園の周囲にわずかに残る石垣のみ。信正の銅像は、同公園から数100メートル離れた松ケ岡公園にある。
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松ケ岡公園 桜の名所として知られ、ツツジの花や紅葉など四季の表情を楽しめる。メリーゴーラウンドやミニ汽車なども設けられ、市民の憩いの場として親しまれている。
▽問い合わせ=いわき市公園緑地観光公社(電話0246・43・0033) |
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2009年3月5日 福島民友新聞社・木曜ナビ
ほっと面掲載
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(
文・紺野裕喜 写真・永山能久 )
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