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こころに残す ふくしまの風景
浄土平天文台
(福島市)
火星接近で人気、標高1575メートルの高地
浄土平天文台
浄土平天文台(右側のドームのある建物)。左は浄土平ビジターセンター
 6万年ぶりという火星大接近が27日夜に迫っている。火星は南の空で夜ごとに明るさを増し、肉眼でもはっきり見えるようになった。
 1993(平成5)年10月、吾妻小富士の火口西側に建設された浄土平天文台には電話や直接訪れる夏休みの児童、生徒から観測に関する問い合わせが寄せられている。
 今回の大接近は、計算上では現代人の生涯に一度となるだけに、ふだんは天文に興味のない人でも夜空を見上げる回数が多くなった。
 浄土平周辺の気温は猛暑で知られる盆地の都市・福島市に比べて10度は低い。同市の最低気温は浄土平の最高気温とも言われており、冷夏の今年はすでに秋の気配が漂っている。
 浄土平は空気が清浄なことに加え、周囲を吾妻連峰に囲まれてくぼ地となっていることから、市街地の明るさに影響されることなく天体観測ができる。87年には環境庁が実施した「星空の街コンテスト」でも上位入賞した。
 標高1575メートルと一般観光客を対象とした天文台としては全国で最も高い位置にある。市街地から車で数十分という交通の便のいい場所にあり、天の川を観測できる公開天文台は全国でも数少ない。
 今年はオープン10周年と重なり、22日からの3日間、同天文台は記念式典として「星と自然の浄土平まつり」を開く。期間中、天文写真撮影教室、大観望会と火星を見る会、大野裕明・星の村天文台長の講演などを予定している。
 同天文台の豊島直紀観測所長は「今世紀中は2度と見られない大接近となる。ぜひ浄土平に足を運び、周囲の自然を楽しみながら星空環境を楽しんでほしい」と呼びかけている。
 最近では、1877(明治10)年9月2日の火星接近が今回に近いものだった。西郷隆盛が西南戦争で同月24日に自刃したことから「火星に軍服を着た西郷さんが見えた」「西郷さんが討ち死にして星になった」といううわさが全国に広がった。今年は火星の接近とともに、どのようなエピソードが後世の人たちに語り継がれるのだろう。
 >>> 行ってみよう
 福島西ICから車で45分。開館は4月下旬から11月上旬(磐梯吾妻スカイライン通行可能期間)まで。月曜日が休館。天文台周辺にはレストハウスやビジターセンター、ハイキング用の木道なども整備されている。問い合わせは、浄土平天文台(電話024・543・0988)、福島市観光課(同024・525・3722)へ。
<21> 2003.08.22
 

福島民友新聞社
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